金沢移住顛末記 完結編 - 逆転劇

延ばすかどうかの決断は往々にして紙一重です。今回も土壇場の逆転劇で決着しました。
風呂から上がった時点では、今日中に列車で一旦帰京するつもりだったのです。手短に一杯やれば八時前後には切り上げられます。新居へ荷物を取りに戻り、バスに乗っても終列車には間に合うという寸法です。ほんの一週間前まで蝉が鳴いていたにもかかわらず、今日は俄に冷え込んで、冬の足音を感じました。そこでひとまず区切りをつければ、起承転結としても申し分なかろうという算段でした。ところが、当てにしていた赤玉に、待ち客が列をなしているのを見て敬遠。突如梯子を外されたとき、十三夜の月も見ていけと悪魔が囁き、「迷ったら買え」の原則に倣い、急転直下踏みとどまるという顛末です。