金沢移住顛末記 完結編 - 金澤もんよう

今日中に帰るかどうかにかかわらず、店で一杯やるつもりでした。懸案の一つとしてきた一軒がここでようやく登場です。
物件の下見でこちらを訪ねたとき、繁華街を再度探索してみて分かったのは、持ち帰りに対応している店が都内に比べてかなり少ないということでした。あまつさえ、こちらが転居する直前にお門違いな「要請」が発せられたことにより、ほぼ全ての呑み屋が休業を余儀なくされてしまいました。そのような中で営業を続け、持ち帰りにも対応していた例外中の例外が本日訪ねた「もんよう」です。無理無体を押し付けられてもなお、店の明かりを灯し続けた店主の気概に対しては、密かに感服していました。いずれ表敬したいと思っていたにもかかわらず、今日の今日まで延びたのは、早仕舞いにより何度か振られたのに加え、喫茶店風の店構えに食指が動きにくかったという事情によります。
外観から抱いていた印象はおおむね的中し、内装、調度、小物による装飾に至るまで、居酒屋らしき雰囲気は全くといっていいほど感じられません。独特なのは献立にしても同様で、頭上に掲げられた日替わりの黒板と、手元にある三枚分の品書きには、伝統的な加賀料理から麻婆豆腐、ソテー、グラタンに至るまで様々な品が書き込まれ、店主考案という触れ込みの焼き天なるものまで加わります。和洋中を幅広くこなす店主の多才ぶりが窺われる一方で、初見では絞りがたいのも事実です。雑多な好みを持つ仲間内の集まりでは真価を発揮する一方、独酌の場として考えたとき、果たしてこれが最善なのだろうかという疑問は残りました。しかし、今回の主たる目的は表敬することにありました。その宿願をようやく果たせたのは幸いです。

★金澤もんよう
金沢市香林坊2-12-34 ニュー香林坊ビル1F
050-5890-3355
平日1700PM-2300PM
土日祝日 1130AM-1500PM/1700PM-2300PM
木曜定休

常山
獅子吼
突き出し(棒々鶏)
お刺身三種盛り
加賀蓮根の焼き天
和牛のやわらか煮込み
秋ナスとベーコンのグラタン