長い腹ごなしを経て活動再開です。新天地で再開したBETTAKOを訪ねます。
飲み歩きのために都区内パスを買ったと申しました。つまり、パスは手段に過ぎないということです。乗り放題だからといって、安普請の通勤電車に延々乗りたくはありません。かような観点から候補の筆頭に挙がるのは「丸千葉」であって、去年も似たような状況で訪ねたことがあります。ところが今回は満席で振られるという誤算が。そもそも六時半などという時間に訪ねたのが間違いであり、仮に直行していればというところではありましたが、腹具合を考えると採り得ない選択でした。縁がなかったものと諦めて、次に向かったのが赤羽です。しかしここでも「まるます家」の早仕舞いによりあえなく退散。その結果、板橋に移ったBETTAKOに流れ着いた次第です。
東口から北へ向かって少し歩いたところに、先代の店舗から受け継がれた扁額がありました。猥雑な繁華街の只中だった池袋とは対照的をなす、ささやかな呑み屋小路の趣です。
移転により一回り小さくなったと聞いてはいましたが、実感としては二回りほど小さくなったような気がします。同じく先代の店舗から受け継がれた一枚板のカウンターは、一直線からL字に替わり、合わせて8席分ほどに縮小されていました。つまり、席の数でいうなら激減したわけでもありません。しかるに小さくなったと感じるのは、カウンターと座敷が分かれて二階建てになったのに加えて、厨房が狭くなったという事情によるところがありそうです。手伝いの青年の姿はありませんでしたが、この広さでは店主と女将が二人で仕切るのが限界かもしれません。カウンターの上に並んでいた一升瓶は壁面の棚に収められるなど、店構えと中の造りについては様変わりしました。
小さくまとめられた店内に応じて品書きも替わりました。お通しがなくなったのが一つ。直筆による品書きが一枚だけ用意され、注文が済み次第適宜回収される「独酌三四郎方式」に替わったのが一つ。そして、塩味では日本一だと絶賛してきたもつ煮込みがなくなるという残念な変化もorz
その一方で、字面から想像される内容をよい意味で裏切る、一捻りを効かせた近年の傾向は、さらなる進化を遂げています。たとえば鮪のヅケは独特な色合いと味わいを持っており、一緒に漬けた腹皮の部分とともに供されました。「春野菜のつまみ」は、筍、新大根と長葱を出汁で炊いたもので、文字で表現するなら炊き合わせということになりますが、細長い板に一点ずつ盛り合せた出で立ちは刺身のようでもあり、大根と長葱にかかったタレにも工夫の跡が窺われます。醤油だれに漬け込んだ新玉ねぎを山盛りにした「昔ながらの木綿豆腐」なる品もうまそうでした。ありふれた食材を使いながらも、素人には発想できない組み合わせの妙で勝負する引き出しの豊富さには、弘前の「はすや」にも通ずるものが感じられました。
有り体に言えば、扁額とカウンター以外に先代店舗の面影はないといってもよく、池袋時代が懐かしく思い出されるのは事実です。一回り小さくなったことに加え、常連以外はまず寄りつかないだろう呑み屋小路に移ったことで、こちらにはやや敷居が高くなったという印象も受けました。しかし、常に進化を続けてきた品書きと同様、これも進化の一形態ではあります。自分にとって原点の一つといえるこの店の移り変わりを、今後も折に触れて見届けられれば幸いに思います。
★BETTAKO
東京都北区滝野川6-84-10
03-5394-8033
1700PM-2300PM
月曜定休(祝日の場合営業し翌日休業)
さつまおはら・千鶴・伊佐大泉
まぐろづけ刺
春野菜のつまみ
ホタルイカの松前漬け
飲み歩きのために都区内パスを買ったと申しました。つまり、パスは手段に過ぎないということです。乗り放題だからといって、安普請の通勤電車に延々乗りたくはありません。かような観点から候補の筆頭に挙がるのは「丸千葉」であって、去年も似たような状況で訪ねたことがあります。ところが今回は満席で振られるという誤算が。そもそも六時半などという時間に訪ねたのが間違いであり、仮に直行していればというところではありましたが、腹具合を考えると採り得ない選択でした。縁がなかったものと諦めて、次に向かったのが赤羽です。しかしここでも「まるます家」の早仕舞いによりあえなく退散。その結果、板橋に移ったBETTAKOに流れ着いた次第です。
東口から北へ向かって少し歩いたところに、先代の店舗から受け継がれた扁額がありました。猥雑な繁華街の只中だった池袋とは対照的をなす、ささやかな呑み屋小路の趣です。
移転により一回り小さくなったと聞いてはいましたが、実感としては二回りほど小さくなったような気がします。同じく先代の店舗から受け継がれた一枚板のカウンターは、一直線からL字に替わり、合わせて8席分ほどに縮小されていました。つまり、席の数でいうなら激減したわけでもありません。しかるに小さくなったと感じるのは、カウンターと座敷が分かれて二階建てになったのに加えて、厨房が狭くなったという事情によるところがありそうです。手伝いの青年の姿はありませんでしたが、この広さでは店主と女将が二人で仕切るのが限界かもしれません。カウンターの上に並んでいた一升瓶は壁面の棚に収められるなど、店構えと中の造りについては様変わりしました。
小さくまとめられた店内に応じて品書きも替わりました。お通しがなくなったのが一つ。直筆による品書きが一枚だけ用意され、注文が済み次第適宜回収される「独酌三四郎方式」に替わったのが一つ。そして、塩味では日本一だと絶賛してきたもつ煮込みがなくなるという残念な変化もorz
その一方で、字面から想像される内容をよい意味で裏切る、一捻りを効かせた近年の傾向は、さらなる進化を遂げています。たとえば鮪のヅケは独特な色合いと味わいを持っており、一緒に漬けた腹皮の部分とともに供されました。「春野菜のつまみ」は、筍、新大根と長葱を出汁で炊いたもので、文字で表現するなら炊き合わせということになりますが、細長い板に一点ずつ盛り合せた出で立ちは刺身のようでもあり、大根と長葱にかかったタレにも工夫の跡が窺われます。醤油だれに漬け込んだ新玉ねぎを山盛りにした「昔ながらの木綿豆腐」なる品もうまそうでした。ありふれた食材を使いながらも、素人には発想できない組み合わせの妙で勝負する引き出しの豊富さには、弘前の「はすや」にも通ずるものが感じられました。
有り体に言えば、扁額とカウンター以外に先代店舗の面影はないといってもよく、池袋時代が懐かしく思い出されるのは事実です。一回り小さくなったことに加え、常連以外はまず寄りつかないだろう呑み屋小路に移ったことで、こちらにはやや敷居が高くなったという印象も受けました。しかし、常に進化を続けてきた品書きと同様、これも進化の一形態ではあります。自分にとって原点の一つといえるこの店の移り変わりを、今後も折に触れて見届けられれば幸いに思います。
★BETTAKO
東京都北区滝野川6-84-10
03-5394-8033
1700PM-2300PM
月曜定休(祝日の場合営業し翌日休業)
さつまおはら・千鶴・伊佐大泉
まぐろづけ刺
春野菜のつまみ
ホタルイカの松前漬け
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