日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

色づく秋の北国へ 三日目

2013-09-30 17:22:04 | MOS
滝川で再び12号線に戻りました。道中二軒目のMOSに寄ってから旭川へ向かいます。
昨日訪ねた新琴似店と同様、この店舗には思い出があります。ここを訪ねたのは新琴似店を訪ねた翌年、自身二度目の北海道へ渡ったときのことです。六月の中旬というおよそ旅行客がいないであろう時期を狙った、全十日間の旅でした。「はまなす」で北海道へ上陸し、三時過ぎには明るくなる東の空に鮮烈な出迎えを受けた後、一日活動して滝川までたどり着き、網走行の夜行列車を待つ間に立ち寄ったのがこの店なのです。
しかし、汽車旅の途中に立ち寄ったからといって、駅前の店舗などではありません。この店があるのは駅から3kmも北上した国道沿いです。滝川駅で降りたときにはバスの終車もとうの昔に出ており、自分は駅からMOSまで延々歩いて往復するという酔狂なまねを働いたのでした。あまりの遠さに最後は時間の余裕がなくなり、小走りで駅に戻ったのを昨日のことのように記憶しています。

そんな思い出深いこの店ですが、二十年近くの時が流れた今も、赤看板が緑に変わった以外は何一つ変わらず健在でした。強烈な個性を放つ新琴似店を訪ねた翌日だけに、箱形の外観は遠目には平凡にも感じられるものの、五角形のファサードを造り、そこに"THE MOST DELICIOUS HAMBURGER"の切り抜き文字を掲げるところは心憎いものがあります。道路に面したファサードの左側には三角屋根の塔が建ち、塔の下にはこれまた三角形をした明かり取りの窓が開けられて、吹き抜けになった天井へつながるという仕掛けです。緑色を基調にしつつ、赤の縁取りを効果的に使った色彩も秀逸。玄関をくぐれば、タイルで飾りステンレス焼き付けのMマークを貼り付けたレジカウンター、ニス塗りのテーブル、天井から下がった球形のランプシェードなど、全てのものが昔のままでした。
そして何より特筆すべきは、店主が自ら店頭に立つことです。今時ドライブスルーもない手狭な店舗では、レジカウンターで車のナンバーを聞き、でき次第駐車場へ受け渡しに出向くという昔ながらの方法でテイクアウト客がさばかれていきます。そんな人間臭さを含めて秀逸というほかありません。店舗の質の低下に歯止めがきかず、MOSの居心地よさが急速に失われつつある今日、古きよき時代の名残を伝えるこの店舗には、店主ともども末永く活躍してほしいものです。

モスバーガー滝川店
滝川市二の坂町東2-2-2
0125-24-8877
1000AM-2200PM
第819号

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