日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in信越 2016秋 - ますます。

2016-10-23 21:09:54 | 居酒屋
115系の乗車を終え、帰りの列車の時刻まで小一時間が残りました。一杯引っかけるには必要最小限の時間です。日曜の長岡で駅至近の店といえば、前回も世話になった「松本」「ますます。」の二軒が思い浮かぶ中、今回は後者を選びました。
「魚仙」という不動の横綱が君臨する長岡で、他の店を訪ねる機会は日曜に限られます。しかるに115系が引退すれば、新潟に列車で来ることは基本的になくなるでしょう。そうなれば日曜に一杯やって帰ることもなくなるわけです。事実上最後になるかもしれない機会なら、度々世話になってきた「松本」を選びたいという考えはありました。少なくともはしごができる状況ならば間違いなく立ち寄っていたでしょう。それにもかかわらず、過去に一回訪ねただけの「ますます。」を選んだ決め手は、微妙な立地の違いにありました。
駅までの距離についていえば全くの互角です。内容的にも甲乙は付け難いものがあります。しかし、今日に関していえば「ますます。」に一つだけ明確な利がありました。というのは、ロータリーに面した「松本」に対し、この店は通称「魚仙踏切」のすぐそばにあるのです。場合によっては最後の乗車となるかもしれない今回、乗車してきた湘南色を含む6両編成が車庫へと引き上げるのを、是非ともこの踏切から見届けておきたいという考えがありました。テールランプ遠ざかるのを見届けてからこの店に飛び込めば、流れとしてはまことに理想的です。踏切から「松本」まで歩いても五分足らずの距離とはいえ、元々の持ち時間が40分しかない以上、数分の違いは数字以上に大きいものがあります。わずかな時間も惜しんだという事情に加え、前回ここでいただいた煮込みとポテトサラダが非常に秀逸だったのも、再訪に至った理由の一つです。

前回訪ねたときは、開店と同時に入って貸切状態でした。しかし「魚仙」への行き帰りにのぞいてみると、何人かのお客がいるのがこの店の常です。これは固定客がついているということでもあり、この日もカウンターには先客のおばちゃんが一人いて、二つある卓袱台の小上がりも地元の先客で埋まっていました。その先客というのが、酒と肴を嗜むような雰囲気の人々ではなく、有り体に言えば洗練されていないのが実情で、教祖が好む類の店とは明らかに路線が異なります。
しかし調理は今回も秀逸でした。品数こそ多くはないものの、たらこフライ、ぶりカツなど酒呑みのツボを押さえた品が多く、麻婆豆腐、赤ウィンナー炒めといった一見すると平凡な品々も、この店主の手でどう化けるのかと想像をかき立てられます。その中からまずは手堅く鰤の刺身を注文すると、差し出されたのは異なる部位が四切れずつ盛られた皿でした。どちらも見るからにうまそうで、目当ての煮込みも記憶に違わぬ奥深い味わいです。いかんせん40分という持ち時間はあまりに短く、この二品とお通し、酒二杯限りとなりましたが、時間が許せば他の品も試してみたいところでした。

アキナイ酒場 ますます。
長岡市殿町1-3-3
0258-33-3955
1630PM-2300PM(LO)
火曜定休

山古志・鼓
お通し(温玉キムチ)
ぶり刺
煮込み

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