日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

再延期

2020-10-14 22:47:30 | 旅日記
昨晩までは予想もしなかった結果です。出発をさらに一日延ばします。
昼過ぎに出るなどという半端な予定を立てていたのは、金沢にもう一泊して行くためでした。先月の連休中に二泊できたことについてはもちろん満足しているものの、日祝日に重なったことで、「浜長」に寄れなかったのが心残りだったのです。それ以外にも行きたい店は多々あるため、北海道へ渡る前に落ち穂拾いをして行こうという算段でした。ただし、駅前に繁華街がある富山と違い、金沢では駅から市街へ移動する手間が加わります。富山よりも遠くなることを含めて考えると、終業を多少繰り上げる程度では厳しかろうと考え、半日休みを取って昼過ぎに出ようとしていたというのが真相です。
ところが、今朝目覚めると突然気が変わっていました。金沢にもう一泊できるという高揚感は失せ、蛇足になりかねないという考えが頭をもたげてきたのです。福井を振り出しにして金沢、富山、能登の順に駒を進め、次はいよいよ北海道というところ、一晩だけ金沢に戻るのが、余計に感じられてきたとでも申しましょうか。目下の社会情勢が保たれれば、北陸には冬場にも再訪するつもりでいます。北陸の真骨頂が発揮されるのは何といっても冬です。予定していた一泊をそのときに回し、今回は北海道の旅に注力した方が、長い目で見れば得策と思い至ったのでした。
もう一つの決め手となったのは、前日まで考えていた構想に従うと、終盤の行程が相当詰まってきそうだったことです。本日の後半から再来週の月曜の前半までというのが、職場に願い出ていた休みの日程でした。月曜を半日休めるようにしたのは、去年と同じ事情によります。道内の滞在を延ばしたくなる可能性を見越しての、予備日という位置付けです。しかし、金沢での一泊を見送れば、それにより浮く半日分の休みを回すことにより、月曜を全休にすることも可能です。そのような前提で考え直したところ、道内での行程に半日という数字以上の余裕が出ると気付いたため、出発を明日に延ばすという決断に至りました。土壇場での申し出にもかかわらず、認めてくれた職場には感謝します。

しみじみ感謝したくなる出来事がもう一つありました。渡道に先立ち気になっていたのが、毎年世話になっている萱野駅のライダーハウスの動静です。計呂地駅のライダーハウスが、今季は開放されないと風の便りに聞いていました。地元の皆様方の善意で成り立つ施設だけに、物騒なご時世も考えると仕方のない判断ではあります。同様の形を採る萱野のライダーハウスについても、開放されるかどうかは微妙と見ていたわけです。
ライダーハウスに改装されたその年から数えると二十年、泊めてもらうようになってから数えても十年近く通い続け、今やこちらが名乗らなくとも、電話口の様子から察してもらえるようになりました。今年は開いているのかどうか、直接確かめてみればよかったともいえます。しかし、物騒なご時世を考えたとき、躊躇せざるを得ませんでした。小さい町であればあるほど、余所者への警戒心が強まるという現実を、北陸を旅する中で思い知ったからです。宇出津の銭湯に至っては、県外どころか町外の客さえ断っていました。あれよりもはるかに小さい萱野の町なら、今季ばかりは閉鎖となっても仕方なかろうと覚悟したのです。しかし、いよいよ出発するに先立ち、意を決して一報入れたところ、管理人からは何事もないかのように開いているとの返答がありました。それに続いて発せられたのは「来て」の一言です。飄々とした管理人らしい一言でした。
一時はどこもかしこも来るな来るなの大合唱でした。それがひとまず止んだ後も、少し前までは余所者を歓迎しない雰囲気がありありと窺われました。それだけに、わずか二文字とはいえども、「来て」の一言が心底ありがたく感じられました。常々語っている通り、気楽な一人旅とはいえども、他人様の善意に少なからず支えられています。非常時の今にあってはなおさらです。このご時世に旅ができることに対し、改めて感謝したいものだと思いました。その感謝を胸に旅立ちます。
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