日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in北陸 2014初冬 Returns -ねんじり亭-

2014-12-07 18:14:11 | 居酒屋
新幹線開通前最後の花見で訪ねた四月に続き、魚津で呑む二度目の機会がやってきました。駅前に教祖の推奨店が二つあり、そのうち「ねんじり亭」を前回訪ねたことからして、選択肢はもう一軒の「炉辺かねや」に自ずと絞られます。ところがここで大誤算がありました。日曜も開くはずの「炉辺かねや」が、なぜか閉まっていたのですorz
「ねんじり亭」も悪くはなかったものの、是非もう一度訪ねたいと思うまでには至らなかったため、急遽自力開拓するという選択も考えはしました。しかし、ただでさえ小さい魚津の町で、日曜という条件が加われば、そのような芸当は至難の業です。駅前を軽く一周しただけでも、めぼしい店がなさそうだということは察しがつきます。魚津で呑むのをあきらめて後続列車に飛び乗れば、長岡まで普通列車だけで行けると気付いたときには、既にその列車は出た後でした。かくして選択肢は「ねんじり亭」の再訪に絞られたというのがここまでの顛末です。

瀟洒なカウンターの居心地がよく、付かず離れずの接客も好ましく、しかしどこか淡白な印象が拭えず、心底感服するまでには至らなかったというのが、前回ここを訪ねたときの印象です。結論からいえば、その印象は今回も大きくは変わりませんでした。しかし再訪したからこその発見もあります。
短髪細身の店主に娘さん二人という顔触れは当然ながら前回と同じで、十種ほどの突き出しから二つ選ぶという仕組みも変わりません。前回は少量のグラスを何杯もおかわりする結果となったため、店の名を冠した「ねんじり」を選択。ラベルのない飲み切りボトルは店主によって封切られ、最初の一杯はお酌がつきます。磨りガラスの瓶とガラスの猪口、同時に差し出される和らぎ水のグラスという取り合わせが涼しげで、水が足りなくなると即継ぎ足してくれるといった気配りも周到です。
今回改めて思うのは、カウンターが実によくできているということです。分厚い一枚板は落ち着いた色合いに塗装され、ダウンライトに照らされて、よい味わいを放っています。正面にある扉付きの食器棚の意匠が凝っており、整然と並んだ皿はどれも上品です。見せるべきところは見せ、お客の目に触れてはならない雑多なものは死角に入るように設計されているのが、カウンターを観察すると分かってきます。
それに加えて気付いたのは、敷地の形状が巧みに生かされているということです。店内をよくよく見回すと、カウンターの方向が左右の壁と直角には交わっておらず、ごくわずかながら斜めになっています。これは、鋭角の角地の形状が、正方形、長方形ではなく台形になっているからでしょう。しかしこのわずかな傾斜が、たとえていうならセンターコンソールを運転席側に傾けたBMWのごとく、室内の雰囲気を引き立てるのに絶妙な役割を果たしています。板の間の小上がりも立派な木材を使っており、手間と予算を惜しみなく注ぎ込んで造られた店であることはよく分かりました。

前回難点として挙げた、常連客と一見客に対する接客の温度差については、やはり相変わらずといった感はあります。しかし、今回再訪して、これも無理からぬことかという考えに変わってきました。というのは、前回も今回も、来る客がことごとく常連で、しかも常連同士が顔見知りのようなのです。よくよく考えれば、魚津という小さな町によそ者が来ること自体珍しく、呑み屋はどこへ行ってもこのような雰囲気なのかもしれません。
一度限りのことゆえ定かな記憶ではないものの、紅一点のお姉さんは前回訪ねたときにも見かけたような気がします。そのお姉さんが二人連れなのを除けば、あとは全てが独酌です。そのような常連の一人客でカウンター席が埋まるという光景からしても、居酒屋としては完成されているということでしょう。ただし、そのよさを本当の意味で理解するには、常連客の輪に入って歓談できるようになるまで、何度となく通い詰める必要がありそうです。しかし、教祖がこの店にそこまで足を運んでいるとも思えません。何故にあれほど激賞するかは、今回も謎となって残りました。

ねんじり亭
魚津市釈迦堂1-16-1
0765-24-6651
1700PM-2130PM(LO)
月曜定休

旨酒ねんじり
突き出し二品
げんげ天ぷら
大判あげ
銀だら西京漬
ごはんセット

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