日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

花見の旅in信州 2016 - 食い飲み屋 BUN

2016-04-09 23:39:09 | 居酒屋
「しづか」であらかた腹は満ち、心は十分満たされました。しかし松本に泊まるのも一年ぶりということになると、一軒限りで切り上げるのは惜しいような気がしました。〆のカレーライスを試してみたいという考えはありながらも思いとどまり、わずかな余力を二軒目に振り向けることにしました。
こうして続投を決めたのはよいものの、二軒目はズバリここだといえる店が、松本ではいまだ確立していません。まず「山女や」は既に提灯の明かりを落としていました。それ以前の問題として、いまだ満席なのが店先からのぞき込んでも分かり、早く乗り込んでも入る余地はなかったように見えます。ならば前回世話になった「勝利」でうどんをすすっていくかと思ったところ、腹ごなしに散策して戻ってきたときには行灯の明かりが消えていました。その結果持ち駒はBUN一軒に絞られたというのがここまでの経過です。
中町通りにある蔵造りの建物を使った店です。特筆すべきは、蔵や小民家を改造した店舗が多々ある中でも、元の造りを極力残している点でしょう。艶やかな梁と柱はもちろんのこと、漆喰壁、木のサッシ、神棚なども往年のままで、それらが裸電球でほどよい明るさに照らされた店内は、語弊を恐れずいうなら京都の「赤垣屋」を彷彿させるものがあります。とりわけ秀逸なのが、吹き抜けになった建物の中央部分で、その直下にサーバー、酒燗器などが設えられ、手前側がオープンキッチンのカウンター、突き当たりが座敷という構成。凝った意匠の手摺りがある階段を二階へ上がれば、そちらにも客席があるようです。加えて生ビールは希少なブラウマイスター、信州の地酒も両手に余る数が揃い、燗酒を所望すればステンレスのちろりで提供されます。
これだけ周到に造り込まれた店でありながら、「しづか」に対し一歩譲る位置づけに甘んじているのは、店の造りとは裏腹に客層が若く、品書きもそれ相応だからに他なりません。その点では金沢の「あぐり」に近いものがあります。ただし、中年の一人客でもそれなりに選択肢があるあちらの品書きに対して、こちらではさらに選択肢が狭まり、酒の他に何を選ぶかという時点で行き詰まるのです。
今回も同様の展開に至り、結局〆の一品を兼ねて油そばを選ぶという結果でした。うどんをいただくことも考えた以上、これはこれで悪くはなかったものの、この店の最適な使い道については、まだまだ試行錯誤の余地がありそうです。

食い飲み屋 BUN
松本市中央2-10-15
0263-35-9897
1130AM-1430PM/1800PM-2400PM(金曜土曜 -100AM)
日曜定休

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