日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北一周花見の旅 2013完結編

2013-06-15 22:32:11 | 居酒屋
投宿して夜の街へ繰り出しました。到着が遅くなったこともあり、呑み屋街を歩いて吟味する時間はありません。今回は手堅く教祖おすすめの店で一杯引っかけます。訪ねるのは櫻山横丁の「ハタゴ家」です。
昨年刊行された「居酒屋味酒覧」の第三版で大きく変わったことの一つといえば、八戸横丁とこの櫻山横丁が掲載されたことではないでしょうか。居酒屋ではなく呑み屋小路自体を紹介するのも初めてなら、見開き二ページにまたがるという体裁も初めての試みでした。櫻山横丁は、改訂版が出る前の去年の花見で一度訪ねており、そのとき飛び込んだ「美藤」が上々の店だったため、盛岡で呑むなら今回もこの横丁だろうと考えて乗り込んだ次第です。
もっとも、この店へたどり着くまでには若干の紆余曲折がありました。教祖が紹介している四軒のうち、いの一番に訪ねたいと思っていた「なにわ」がどういうわけか閉まっており、"MASS"も閉店まで一時間弱しかなく断念。残る二軒は、店構えを見るに今一つ感性に訴えるものがなかったため敬遠し、櫻山横丁で呑むのは一旦あきらめました。その後五分ほど歩いて、同じく第三版で新たに掲載された「海ごはん しまか」を訪ねたものの、今度は事前情報より閉店が繰り上がっており看板で振られ、結局櫻山横丁まで引き返してきたというのがここまでの顛末です。蒸し暑い中行ったり来たりで大汗をかいてしまいましたorz

このように、一度は素通りした店ということもあり、感嘆するほどの名店かというと、それほどではないというのが率直なところではあります。玄関をくぐると折れ曲がったカウンターが七席、あとは二階の座敷という造りは、いかにも呑み屋小路の古い長屋です。しかし店内は現代風に改装されていて、愛嬌のある筆ペンの文字で三段組みにされた品書きも、若い店主の店にはありがちなものです。要は、全国のどこへ行ってもありそうな、若い店主が造った若者向けの店ということで、少なくともカウンターの造りや品書きを眺めるだけで酒が呑めるような店ではありません。「おでんに旬の魚・山菜の典型的な居酒屋」という教祖の寸評は、ある意味的を射たものだったということになります。
とはいえ、これは決して悪い店ということではなく、むしろよい店であるということを強調しておかなければなりません。お通しはなく、百円均一のおでんがその代わりになると思えばよいでしょう。そのおでんは一つ一つが大ぶりでなかなか食べ応えがあり、刺身を頼めばこれが550円かと思うほど気前よく盛られてきます。グラスになみなみ注いでこぼした酒は、小皿と合わせて正一合でこれまた550円均一です。酒も肴も一品500円見当で安心して飲み食いできるところは、雰囲気こそ大きく違えど正統派の大衆酒場に通じるものがあります。店主の客あしらいも上々で、たとえば肩慣らしに軽く一杯引っかけ、その後焼肉と冷麺で仕上げるといった向きには、こんな店こそ好適ではないでしょうか。今日はまさにそのような展開を考えていたのですから、この店を選んだのはあながち間違ってはいなかったようです。

ちなみに、櫻山横丁で紹介されている四軒のうち、ここを含む三軒は若い店主の店で、横丁全体でもその手の店が少なからぬ割合に上っています。古い呑み屋小路の割に寂れた感じがしないのは、おそらくこれらの店のおかげなのでしょう。だからといって観光客を当て込んで俗化しているわけでもなく、情緒をそのまま残しているのはまことによいことです。

ハタゴ家
盛岡市内丸5-14
019-652-2130
1700PM-2400PM(年末年始休業)

豊盃・酔右衛門
おでん三品
あいなめ刺身
桜ますルイベ

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