日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

小春日和の駿河路へ 2016 - 新生丸

2016-11-26 20:02:51 | 居酒屋
「そ乃田」を出た後、そろそろ空くかと期待しつつ「かね田食堂」へ向かうと、立看板は満席の案内から品書きへと変わっていました。あとは「新生丸」が空いているかどうかです。看板が早い両店だけに、両方をはしごするという選択は許されません。「新生丸」に飛び込んでみて、空いていればそのまま入り、またも満席ならば今回は潔く切って、「かね田食堂」を二軒目にするという方針を立てました。その上で「新生丸」の暖簾をくぐると、お客は一巡して落ち着いており、首尾よく入店という結果です。

「そ乃田」について、よい店ではあるものの「新生丸」には一歩譲ると申しました。その違いは、この店で呑むために旅をしたいと思わせる、至高の名品があるかどうかの違いでもあります。それでは当店における名品とは何かといえば、何といっても彩り豊かな刺身でしょう。ホワイトボードに並んだ様々な魚介の名は眺めているだけでも楽しくなり、当然ながらその中から一つや二つに絞ることなどできません。何はさておき、最初は刺身を盛り合わせてもらうのが定着して久しくなります。
本日の盛り合わせは赤身が鮪と鰹の二種、白身が太刀魚、エンガワ、イサキの三種、光り物が〆鯖、それに地ダコとゲソの合わせて八点。素人には見分けづらい白身だけ指を指して説明し、あとは言わずもがなというのがここの店主の流儀です。これだけの品々を盛り合わせれば、当然お値段もそれなりではあり、これまでの経験からしても一人前で二千円程度といった見当でしょうか。しかし、たとえば市場の食堂で、これと同じものを盛り合わせて海鮮丼を作ったとすれば、間違いなく二千円を超える価格設定になるでしょう。そう考えるとむしろ安いといっても過言ではありません。
この刺身だけでも十分満足できる内容ではありますが、この時期に来たならカワハギを選ばない手はありません。肝の状態を見て肝付き、肝合え、タタキのいずれかで供されるのが当店のカワハギで、本日は肝と一緒に叩いたものが出てきました。残ったアラは煮付けにしてくれるため、一粒で二度おいしい逸品です。
こうして盛り合わせとカワハギの両方をいただき、今回清水に来た目的はおよそ果たされました。年明けにもう一度訪ねるとすれば、短い間隔での再訪という条件を活かし、趣向を変えてみるのも一案でしょう。たとえていうなら「魚仙」で油揚げ以外の品を注文するようなものです。次回も楽しみにしています。

新生丸
静岡市清水区巴町10-29
054-352-3851
1600PM-2200PM
日祝日定休

英君二合・正雪
お通し二品(生しらす・ひじき煮)
刺し盛り八点
カワハギ

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