日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

花見の旅in信州 2015 - 神代桜

2015-04-11 15:21:18 | 甲信越
天邪鬼としては、あまりに月並みなのは好みません。しかし、一生に一度は巡礼しなければならないと思っていた聖地があります。その山高神代桜にやってきました。
滝桜、淡墨桜と並ぶ「三大桜」の一角であるこの名木を素通りしてきたのは、関東と信州の中間という半端な開花時期によるところが一つ。近寄る気すら起きないほど渋滞する滝桜との類推からして、相当混むだろうと敬遠していたのが一つです。しかし、身構えつつも車を走らせると、難なく現地にたどり着き、神代桜の目の前にある駐車場に入れました。見物客は少なくはないものの、だからといって辟易するほど混んでいるわけではなく、適度な賑わいと形容するのが適切でしょう。勝手な思い込みで敬遠していた自分は、今まで損をしてきたのかもしれません。
かくして初の巡礼となった神代桜ですが、推定樹齢二千年の触れ込みは伊達ではなく、ここまで来ると単なる一本桜の域を超え、「神代桜」という一つの存在に昇華している感があります。直裁に言えば、立ち姿がそこらの桜とは別次元なのです。中心にある一番太い幹は完全に空洞化して立ち枯れ、低い場所で分かれた二本の太い枝が幹のようになって、そこから分かれる枝に花が咲くというのが、この桜のおおよその立ち姿です。何本もの杭に支えられた出で立ちは、杖をついた老人が腰掛けているようにも見えるものの、そのような表現では足りない存在感を放っています。そう感じるのは、桜が今まさに満開だからでもあるのでしょう。
加えて秀逸なのは、この桜を名脇役が固めていることです。適度な広さの境内は満開の桜と水仙で彩られ、桜の半分近くはエドヒガン、それも三大桜に久保桜、久遠寺の枝垂桜など錚々たる名木の子孫で、先ほど訪ねた王仁塚の桜に勝るとも劣らない立派な出で立ちをしています。食わず嫌いをしていたことを、またしても後悔させられる見事な光景です。

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