日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in東北 2013Part2 三日目

2013-02-11 16:54:57 | 居酒屋
津軽に滞在した三日間の旅にも終わりが近づいてきました。最後は寿司屋で一献傾けて締めくくります。青森の寿司屋といえば駅前の「大黒寿司」を愛用してきたところ、先々月先月と二度にわたって訪ねていることもあり、今回は趣向を変えて新規開拓を敢行。訪ねるのは「一八寿司」です。

新町通りから一本それた路地裏の店は、左に立方体の近代的な建物、右に白壁の土蔵を置いて棟続きにした瀟洒な造りをしており、左の間口をくぐると正面にレジカウンター、左の奥に厨房、そして右手の土蔵にカウンターとテーブル席が設えられています。左手の階段を上がればおそらく二階の座敷でしょうか。カウンターには目にもまぶしい白木が奢られ、漆塗りの付け台を含めてなかなかの本格派です。それに加えて心地よいのは、蔵を活かした客席の造りで、漆喰壁と組み合わされた飴色の太い梁と柱がよい味を出しており、ほどよい明るさのダウンライトが上品さをなおさら引き立てています。
12人掛けられるカウンターには三人の板前が立ち、それぞれの背後には右から寿司、酒、一品の順でまとめられた品書きが下がります。経木の数はそれほどでもなく、よりどりみどりの品書きというよりは、本当によいものを厳選しているというのが的確な表現になるのでしょう。とはいえ小心者の悲しさ故に、初見の寿司屋でおまかせの刺し盛りなど頼むのがためらわれ、おすすめの中から平目の刺身と、「作田」なる聞き慣れない地酒を選びます。この平目の味わいがただ者ではなく、結局一品では飽き足らず帆立も追加注文する結果に。隣客の刺し盛りを見るに、ここは多少値が張っても盛り合わせを選ぶのがむしろ正しい選択だったかと少し後悔させられました。肉厚の部分をふっくらと、薄い部分をこんがりと焼き上げた穴子もまことに秀逸です。
これらで酒を二本空け、最後はもちろんにぎり寿司で締めくくります。特上、松、竹、梅と四種あるにぎりの中から選んだのは梅です。器の小ささが露呈したのもさることながら、「大黒寿司」の「すしランチ」と比較する目的があったことを申し添えておきましょう。にぎり七貫と巻寿司の組み合わせは「大黒寿司」と全く同じで、寿司の出来にも遜色はありませんでした。価格差がほとんどないということを考えると、こちらも値段以上に満足できる優良店といってよいでしょう。

総じていうなら、よりどりみどりの酒と肴を揃えた「大黒寿司」が「居酒屋使いのできる寿司屋」と呼ぶのにふさわしい一方で、こちらの立派な店構えと厳選された品書きは純然たる寿司屋のそれです。言い換えると、「大黒寿司」では津軽の酒と肴を主役に据え、寿司は最後に軽くつまむものといった位置づけでよいのに対して、こちらではなんといっても刺身と寿司が主役であり、下手に出し惜しみをするよりは、思い切っておまかせの刺し盛りと二千円の松あたりを注文した方が、結果としては楽しめるのでしょう。居酒屋使いを好む向きには、やはり「大黒寿司」に軍配が上がるようです。
とはいえ、それは両店を比べて初めていえることであり、実際のところはごくわずかな違いしかありません。「大黒寿司」が続いて趣向を変えたくなったときには、もう一度世話になりたいと思う名店でした。

一八寿司
青森市新町1-10-11
017-722-2639
1130AM-2145PM(日曜 -2045PM)第二・第四日曜定休

作田・田酒
お造り二品
焼穴子
にぎり(梅)

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