日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

デート誘いに池袋 - 呑処ひとり旅

2016-12-27 23:04:29 | 居酒屋
挨拶がてらにもう一軒。電車に二駅揺られて高田馬場にやってきました。立ち寄るのは「ひとり」旅です。

BETTAKOに足繁く通った当時の呑み仲間が開いた店も、来年で早十年の節目を迎えます。「桃栗三年柿八年」の諺通り、店主は年々貫禄を増し、それに応じて店も完成された域に入ってきました。
今回変わったことの一つとして、酒をグラスと片口から選べるようになったことが挙げられます。ただし一合の片口が120mlのグラスの2割増という、グラスをかなり割高にした価格設定です。正一合を基本としつつも、それでは残すお客が多いことから、やや少なめのグラス売りも始めたというのが実態なのでしょう。その地酒は秋田を中心に、産地、造りと推奨する呑み方を明記の上、東北から九州の順に並んでおり、この形に至るまでの試行錯誤の跡がうかがわれます。手元の品書きは最小限となり、代わって頭上には二枚の黒板が掲げられて、様々な魚介が産地とともに記されるなど、今やれっきとした銘酒居酒屋の趣です。

しかし、教祖の推奨店などと違い、万人に自信を持って勧めるまでには至らない面もあります。というのは、店主の好みが細部にわたって色濃く反映されており、それが必ずしも万人受けするとは思われないからです。
有り体に言えば、ここの店主がいわゆる「鉄」なのです。その気質は年を追えば追うほど前面に押し出されるようになり、壁は列車の写真で埋め尽くされ、カウンターには新幹線のチョロQや弁当箱が並んで、箸置きまでが列車を模っています。旅好き鉄道好きといえば、思い出すのは六本木「さかなのさけ」の店主ですが、あちらの場合店構えにはその気配が微塵も感じられず、話しぶりから察することができるに過ぎません。それに対してこちらの店内はいささか怪しげです。鉄道趣味に対する理解もかつてに比べ浸透してきたとはいえ、人によっては受け入れがたい場合もあろうと想像します。
独特の雰囲気に加え、店主が一人で仕切るカウンターだけの店ということもあり、必然的に常連客が中心となります。一人だけいた先客は一目で分かる常連で、自分の後にも常連客が二人続けて入ってきました。彼等の中では、一年以上も間を開けたこちらなど一見同然です。ましてやこの中に、全くの一見客が気兼ねなく入れるかと考えたとき、一抹の疑問が残るとでも申しましょうか。

もっとも、それは店主も承知の上なのでしょう。なまじ繁盛して手を広げるよりも、一人で仕切れる今の店で思いのままにやりたいという心情は理解できます。水を得た魚のごとく、我が道を究めているのはよいことです。

呑処ひとり旅
東京都豊島区高田3-10-14 吉野ビル1F
03-3203-5021
1800PM-2400PM(LO)
日曜定休

庭のうぐいす・飛良泉
お通し(油揚げ・鶏肉スープ煮)
青森産黒そい刺

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