日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

夜の新宿裏通り(6)

2012-07-07 19:42:08 | 居酒屋
小雨そぼ降る七夕の晩は、高校の部活のOB会で新宿へ繰り出すことになりました。OB会というものが活動するようになって十年近く、毎年恒例だという新年会が一月の三連休に重なる関係で、過去一度として参加の機会はなかったものの、今回はさる二月に逝去した顧問を偲ぶ会という名目でイレギュラーな開催となったこともあり、自身初めての参加となった次第です。

今でこそ一般にも認知された感のある鉄道趣味ですが、在校当時は東北特急と連絡船が相次いで姿を消し、国鉄改革の名の下に全国各地でローカル線が剥ぎ取られていった冬の時代でした。当時使われ始めた「オタク」なる言葉が、本来の差別的な意味を込めて鉄道愛好家にも向けられていた時代です。そのような年代だけに、在校当時は一級上と下が一人もおらず、ただ一人の同期もいつしか部を離れて、ひどい時には新築間もない部室が事実上自分一人の部屋と化していたこともありました。今でこそ笑い話で済むとはいえ、もし翌年も部員が入らなければ、自分の卒業とともに部活が消滅していたわけで、その時点で二十年以上続いてきた鉄研の歴史を打ち切った張本人になりはしないかと思うと、戦々恐々の毎日であったことを思い出します。
その後「オタク」という言葉が浸透するにつれて本来の差別的な意味は次第に失われ、それと同時に鉄道趣味に対する認知も徐々に高まって、今では鉄研が文化部の中でも別格の広い部室をあてがわれているというのですから、世の中変われば変わるものです。SLブームとブルトレブームの両方を知る黄金世代と、鉄道趣味の復権後に入部した若い年代が多く、その中間がほとんどいないという参加者の顔ぶれに、時代の流れが現れているようでした。

そんな栄枯盛衰はありながらも、年齢層にして30年近い幅のあるOB連中が、年に一度はこうして集まるというのですから大したものです。卒業以来今年でついに二十年、クラス会さえただの一度もなかったというのに、鉄研などという必ずしもメジャーではない部活のOB会がこれほど盛大に開かれるのも、故人の功績があってのことと改めて実感した次第です。この伝統が末永く受け継がれることを願って、献杯…

いさみ
東京都新宿区歌舞伎町1-23-10
03-3209-5348
1200PM-2330PM
コメント