フェニキア人:一口メモ
東地中海岸で海上貿易に活躍したセム語族の一つ。アルファベットのもととなったフェニキア文字をつくった。
フェニキア人はセム語系であるが、単一の民族と言うより、東地中海岸の現在のレバノンのあたりを拠点に地中海方面に海上貿易に従事していた集団であった。古くは前15世紀頃に栄えたウガリットもフェニキア人つくった都市らしいが、これは前12世紀に「海の民」の攻撃によって滅ぼされたと考えられる。
フェニキア人は南に移り、シドン、ティルスやベリュトス(現在のベイルート)などに都市を築き、地中海の貿易活動に進出するようになった。彼らの輸出品は特産であるレバノン杉といわれる杉材で、中東では森林が少なかったため、エジプトなどでも貴重な建築材としてフェニキア人の主要な交易品となった。レバノン杉は現在のレバノン国旗の図柄に描かれている。
さらに地中海各地に植民市を建設していった。ティルスを母市として北アフリカの現在のチュニジアに建設されたのがカルタゴ(前814年に建設したと伝えられる)である。他に、イベリア半島のカディス、バルセロナなどもフェニキア人が築いたとされている。