近年、メディアなどで「モラハラ」という言葉をよく耳にするようになりました。Wikipediaによれば、モラハラ=モラル・ハラスメントとは、(道徳・倫理など)モラルを使って行われるハラスメント(嫌がらせ)を指す言葉とのこと。フランスの精神科医であるマリー・イルゴイエンヌが提唱した(結構歴史のある)言葉だということです。
外傷が残る肉体的な暴力と違い、言葉や態度等によって行われる精神的暴力は見えづらい。このため、潜在的な物として長く存在していたにもかかわらず、その存在が可視化されたのは今世紀に入ってからだとされています。
モラル・ハラスメントの加害者は、自分が「常識」であり、真実や善悪の判定者であるかのようにふるまい相手を支配しようとする。相手の弱みを見つけ暴き攻撃することによって優位を保ち、相手のパーソナリティが破壊されていくことを楽しむサディスティックな性癖が特徴だということです。
そういう意味で言えば、家庭内やパートナーによるDVや学校などでのいじめ、職場でのパワハラなども、大きく括ればモラハラの一種と言えるかもしれません。
言い返せない相手を言葉で支配し、一方的に追い詰めていく攻撃的なパーソナリティを持った人間というのは、(経験上)社会でも時折見かけるもの。しかし中には、外からではなかなかわからない「隠れモラハラ野郎」(もちろん男性とは限りませんが)みたいのがいたりして、時に事件となり、世間を驚かせたりしているようです。
もとより、深刻なモラハラによるダメージは人の心を崩壊させ、社会にも悪影響を与えることは必至です。モラハラの被害者には(自己主張の少ない)迎合的なパーソナリティの人が多いという話がありますが、だからといって被害者にもその責を向けるのは大きな問題といえるでしょう。
とはいえ、かの有名な『孫氏の兵法』では「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」と言っています。パートナーからの不要なモラハラ被害を避けるため、またパートナーを刺激してモラハラ怪物にしないため、注意しておくべきポイントというものもあるようです。
7月6日の「チケットぴあ」の「ぴあ朝日」が運営するライフスタイル&エンタメサイト「ウレぴあ総研」が、『男性のモラハラ的な性分を“引き出しやすい”女性の特徴&注意したいポイント』と題する記事を掲載しているので、参考までにその一部を紹介しておきたいと思います。
少し前と比べると「モラハラ」という言葉が一般化してきたこともあって、気が付けば「彼(パートナー)がモラハラで…」といった女性の悩みを耳にする機会が増えたと記事はその冒頭に記しています。
彼氏や夫のモラハラ言動に対し声をあげやすくなっているという環境もあるのでしょう。もちろんモラハラパートナーが厄介な存在であることに変わりはないが、実は女性の性格や行動によって、自ら「モラハラ男製造機」になっているパターンも存在するというのが記事の指摘するところです。
自身の言動がパートナーのモラハラを招くきっかけとなったり、パートナーの行動を亢進させたりしている場合があるということでしょう。記事はここで、「こんな女性がモラ男を作る」と題し、「モラハラ男製造機」になりやすい女性の特徴(パターン)について詳しく解説しています。
その第一は、「何でも男性に意見を求める」というもの。自分では決められず、いつも男性に意見を求めてばかりの女性は、男性から自主性がないと判断されることが多い。結果、関係が深まっていくにつれて「意見」が「指示」や「命令」に変わりやすく、相手の女性はモラハラをされているような気分になりやすい流れができあがるということです。
関係が親しくなる中でモラハラ発言が増えていくパターンでは、この流れは決して少なくない。パートナーである男性に意見を求めるのは絆を深めるうえでは有効だが、些細なことまで意見を求めすぎてしまうと、いつのまにか「指示する側」と「指示される側」という一方的な関係が生まれる場合があるというのが記事の見解です。
モラハラ野郎を生みやすい女性の第二の特徴は、自分に自信がないことだと記事はしています。もともと自分に自信がない性格の女性は、おどおどとした態度で相手に接しがち。そのうち男性も自分が優位になったように勘違いをしてしまい、厳しい発言や失礼な言葉も平然と口にするようになると記事は言います。
いわゆる「彼女や妻を軽く見ている状態」ができあがりやすく、これがモラハラを招く環境へとつながっていく。自分に自信のない部分を持ち合わせていたとしても、(相手が調子に乗らないよう)必要以上にそれを表に出さないことも大切だということです。
そして第三の特徴は、「別れたら次がないという不安が大きい」人だと、記事は話しています。婚活期の女性に多い「この人と別れたら、次がない」という不安要素。この不安感が、パートナーへの不必要なへりくだりにつながり、相手を付け上がらせるパターンも多いと記事はしています。
こういった環境が整ってしまうと、(足元を見た)男性は自由どころか自分勝手な行動や言動に出やすくなってしまう。一方、女性の方には「別れたくない」「捨てられたら困る」という心理が働き、相手のモラハラを許容するようないびつな関係へと進みやすくなるということです。
そして、モラハラを生みやすい女性の第4の特徴として、記事は「相手のスペックばかり重視している」ことを上げています。
身の丈に合っていない相手を好む女性、いわゆる「スペック重視型」の場合、モラハラ男性を育ててしまう危険性があると記事はしています。周囲に自慢できる相手を求める人ほど、「別れるわけにはいかない」とばかり、相手の機嫌をうかがうような付き合い方をする女性が少なくない。そもそも「ハイスペ」男性には自信家や自意識過剰な性格の男性も少なくないことから、自我が強まった結果として好き勝手な発言や行動をするようになり、これが女性側のモラハラ被害につながるというのが記事の指摘するところです。
さらに記事は、モラハラを生みやすい(女性の)最後の特徴として、「言わなくていいことを言う癖がある」というものを挙げています。
言わなくていいことを言ってしまう癖がある女性は、周りからは「ひとこと多いタイプ」として認識されやすく、周囲からも反発されがち。当然、パートナーも常に小言や嫌味を言われているような心境になり、ストレスや不満が溜まった結果としてモラハラ発言を生みやすい環境が生まれると記事は言います。
このパターンは、男性が一方的にモラハラをするというよりも、女性が先制攻撃のようにひとこと多い発言を繰り返すことに始まることになる。従って、自己防衛のような感覚で男性が反発するので、男性からの発言(や行動)が過激になりやすいことにも注意が必要だということです。
彼氏や夫がモラハラをするタイプだと、女性の心は休まらない。しかし、実は「モラハラ男」を自ら製造する、つまり相手のモラハラな性格を引き出してしまうタイプの女性も現実に存在していると記事はしています。
相手に不快感や劣等感を抱かせたり、不要な優越感をもたせるような関係性を一度つくりだしてしまうと、男性がモラハラをしやすい環境ができてしまう。そうならないためにもしっかりと手綱を握り、(貴方の方から)関係をリードしていく必要があるとアドバイスする記事の指摘を、私も大変興味深く読んだところです。
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