男がドン、血に染まる制服 秋葉原事件被害者の運転手(朝日新聞) - goo ニュース
今月8日(日) 東京・秋葉原での無差別殺傷事件の被害者で、一時「重篤」に陥ったもののその後回復したタクシー運転手の方が、当時の「事件の様子」を、報道関係のインタビューで語った様子が記事となりました。
「秋葉原は好きじゃない。あの日はたまたま通っただけ」と回想を始めたそうです。
その方は、事件の当日、ちょうど現場付近を通りかかった時に、殺傷事件の容疑者が運転するトラックに轢かれた男子大学生の救護に入った際、自らも容疑者から右脇腹をダガーナイフで刺され、肺を破って横隔膜や肝臓に達する傷を負い、4時間の手術を受けで、意識が回復したのは4日後だったそうです。
「ショックが大きすぎて、事件に遭った実感も、容疑者への怒りもわかない。むしろ彼が家族にも友人にも理解されなかったというなら、かわいそうにさえ思える」
その一方、事件で受けたあまりにも大きな精神的ショックからか、外出すると、その時の恐怖がフラッシュバックしてしまい、若い男性を見ると、ナイフを持っているのでは?と警戒するようになり、そばを歩くのを避けてしまうとの事です。
実は約2カ月前、勤め先で救命講習を受けたばかりだったそうで、「自分に助けられる命であれば」と思い、タクシーを降り、倒れていた男性に駆け寄ったとのことです。 偶然そばに居た女性に、被害者の身体を動かさないように指示し、他の被害者の救助へ向かおうと立ち上がった瞬間、容疑者の男がドンとぶつかってきたそうです。
右脇腹に「痛み」を感じ、その後男を見ると、警察官に向かって抵抗する姿であったそうで、後に「容疑者」と知ったそうです。傷口が熱く感じ、手で触ると「血のり」がべっとりと付着し、その時点で刺されたことを自覚したそうです。
制服が徐々に「真っ赤」に染まるのに伴い、徐々に力が抜け、事件に駆けつけた救急車を待つ間に、ちょうど現場に居合わせた消防団員の方の「励まし」を聞いているうち、気を失ったそうです。
退院後の現在でも、傷口はずきずきと痛むそうです。
退院の翌日、あの事件に対する警察庁長官ならびに警視総監の表彰を受けた際、受領したメダルのずしりとした重さに、亡くなった7人の命の重みを感じたそうです。
「そう思えるのも、生きているからこそ」 と自分に言い聞かせたそうです。
タクシー運転手の方は、九州・宮崎市出身で、高卒後に上京、ホテルの料理人を10年務められた後、飲食店経営に乗り出したものの数年で失敗の憂き目に遭い、その後、トラック運転手を経て現在のタクシー運転手の仕事を得たそうです。
容疑者の実情は報道などで知ったそうで、「私も店を失敗したけれど、勝ち組、負け組なんてどうでもいい。人に迷惑をかけずに生きていればいいことはある。私はそう信じて生きてきました」 と語ったそうです。
今後は、実家のある九州・宮崎の病院で療養し、体調を整えたうえで再出発を図るとのことです・・・・。
(※asahi com, 男がドン、血に染まる制服 秋葉原事件被害者の運転手 2008.06.26の記事から、一部文章を引用)
昨日26日、その秋葉原で、今度は警察の取り締まりを受けた若者が、所持していた折りたたみナイフについての尋問中に、警官と揉み合いになり、警官の手に軽傷を負わせ、公務執行妨害の現行犯で逮捕されたニュースが飛び込んで来ました。
未だに続く秋葉原事件の模倣犯、また「容疑者」の人生観について考えさせられることがあります。タクシー運転手の方が容疑者に対して、「憤り」よりも「悲哀」を感じたことに、自分も共感を覚えました。
ただ、自分の人生を「破滅」に追い込んだ、この事件には、容疑者の「狭量な性格」が災いし、ねじれねじれを繰り返し、このような悲惨な事件に至らしめた行為に対し、許すことは絶対できません。
容疑者は、今までもそれなりに耐え難い我慢をしてきたと思われますが、もっと色んな「人生の選択肢」があったと思います。ただ結果を恐れず、世間の不満にかこつけて、全く無関係の人の命を平気で奪うなんて・・・・。
怒りよりもむしろ「虚しさ」だけが残ります・・・。