はと@杭州便り

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僧多粥少ー杭州小学校事情

2014-04-22 14:31:59 | 杭州生活
私立お受験大ブームの陰で、公立はどうなっているのか?
中国では公立小学校に入学するにも私立と同じ、いやそれ以上に(別の意味で?)激しい競争、いや区別があるようだ。

日本では住民票がその学校の学区内にあれば、家族の戸籍がどこであろうが、賃貸であろうが持ち家であろうが関係なく
公立小学校に通うことができる、と言うか、通わせなければならないことになっている。

しかし中国では、と言うか杭州では、子供達は入学前から4段階に区別(差別?)されているのだ。

杭州市教育局によると、就学年齢に達した子供たちは「住、戸一致」優先原則で小学校入学が決まる。

第一類(一表生):子供の戸籍と父母の戸籍、持ち家/マンション(名義人は父母)の3つがその学区内の住所と一致する子。
第二類(二表生):子供がその出生日より祖父母の家で生活し、かつ祖父母の家がその学区内の住所と一致する子。
第三類(三表生):杭州市内の戸籍を持つが、上記二類の条件を満たさない子。
第四類(四表生):杭州市内の戸籍ではないが、杭州において教育を受ける条件を満たしている子。

しかし杭州では特にこの3年、就学年齢に達する子供が急激に増加した結果、去年はついに第一類の子供ですら
学区内の学校に入学できないという事態が発生した。

これは良い学校に子供を入れようと、長年慣習として行われてきた学区外からの越境入学(勿論択校費というワイロは欠かせない)を
取締る禁止令が2012年に発布された結果、
良い学校の学区内に直接不動産を購入してその学区内の住人になろうとする(「学区房」と言う)親が増え、
学区内のボロボロのアパートですら信じられない高値で売買されている。

無事に子供が入学すればその学区房は用済みだし、日本円でも数千万~一億円近くする高い買い物、
少しでも早く転売したいのが人情である。
その結果、学区内の不動産は毎年所有者が変わり、その小学校の学区内の新一年生は増える一方になる。

第一類の子供たちだけで既に募集人数を上回った場合、学校側としては苦肉の策として
その不動産の購入時期の古い順に優先順位をつけるらしい。

こんな状況なので、家の近くの公立小学校に子供を入学させたいと思っても、
特に市内では第二類以下の条件では実際にはかなり難しい場合が多い。

勿論中国は制度ではこうなっていても、何事もコネとカネでどうにかなる面もあって、
学校や教育局に顔のききそうなコネとお金を持っている人は心配しなくていいかも知れないが、
そんなコネもお金もない人、特に地方から仕事の関係で出てきた人などは大変である。

最悪、出稼ぎ労働者の子女が通う私立の学校もあるにはあるのだが、公立は望み薄でも少しでも子供を良い学校に入れたい人は、
先述した私立小学校のお受験にチャンスをかけるしかないのだ。

ユキのクラスにも年中組から塾に通ってお受験の用意をしている子がいるが、
恐らく公立の学区が良くないか、そもそも公立に入学できる可能性が低いかのどちらかだと
思われる。
勿論私立も表向きは入試による選抜だが、恐らくコネとカネでどうにかしている人は
かなりの数いるはずなので、塾に通わせたからと言ってそれだけではどうにもならないのだが…。

私立小お受験の掲示板では、合格した子供の中にはチェスの大会で優勝した子や、
ピアノのグレード試験で10級を取った子がいたと言う。
普通は習い始めてから最低でも5年はかかると言われる中国のピアノグレード試験10級に、
わずか6歳の子供がどうやって合格したのだろう?
入試問題も2桁の計算は勿論、英会話、縄跳び、ダンス、歌、唐詩、絵本の朗読など、
とてもじゃないが、未就学児のテストとは思えない内容だった。

公立もダメ、私立もダメとなると、出稼ぎ労働者の子女の通う私立学校に通うか、
子供一人を両親の戸籍のある田舎に帰して小学校に入学させるしかない。

日本の場合は当たり前だがあくまでも公立小学校の入学が保障された上での私立お受験だが、
中国の場合は公立でも入学が難しい子供がたくさんいることを思い知った次第…。

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