中国国籍離脱

先日、ユキの中国国籍離脱手続きをした。

以前ブログにも書いたのだが、ユキはこれまではずっと日本人として、日本パスポートに中国のビザ（Lビザ）を発行してもらっていた。

過去記事：Lビザ
http://blog.goo.ne.jp/miyu_hato/e/ac6276c120b96843a59480a65dcda2a9

Lビザは2年有効のマルチで、日本と中国を自由に行き来できて便利だったのだが、
今年3月、ビザが切れるのでいつものように公安局へ更新手続きに行ったところ、
突然「ユキは中国国籍があるので、外国人としてビザを発給することはできない。」と
更新を拒否された。

こちらとしては、日本で生まれた時点でもう中国国籍は無いものと思っていたので、
何故いきなりそんなことを言われるのか、寝耳に水。
中国の国籍法が変わった訳ではないが、どうやら去年あたりから国籍法の解釈が変わって（？）、
「父母のどちらかが中国公民であれば、その子は中国国籍を持つ」ということになったらしい。

公安の担当者の話では
「中国国籍が有るからビザは必要ない、そのまま滞在していて良い。日本に行くには
「通行証」を発行してもらい、中国に戻るには日本の中国領事館で「旅行証」を発行
してもらえば行き来できる。」という話だった。
そして、その場で中国国籍離脱手続きについての説明を渡され、
「中国は二重国籍を認めていない。以前のように外国人としてビザが必要なら、
ここに書いてある書類を提出するように。」と言われた。

突然のことで混乱した頭を整理して、相方と二人で一つ一つ問題を考えてみる。

まず、さしあたっての問題は、「通行証」の発行には出入国管理局で18営業日の時間がかかるということ。
これでは万一日本で急用が発生した場合、ユキを連れて帰れない。
正真正銘？中国国籍の相方は3年マルチの「同伴ビザ」があるので、すぐにでも日本に行けるのに、である。

それに、日本から中国に戻るには、日本の中国領事館で「旅行証」を発行してもらえと簡単に言うのだが、
電話で大阪の中国領事館に問い合わせたところ（最後には副領事さんまで電話をつないでもらった）、
「こちらでは従来通り、日本で生まれた場合は日本国籍しかないと見なすので、中国人に発行する旅行証は発行できません。」という回答。
杭州の公安の説明と、くい違っているのだ。

勿論日本から中国へは旅行証がなくても日本パスポートであればノービザで入国できるのだが、
これではユキは中国→日本へは中国人として「通行証」、日本→中国へは日本人としてノービザ、ということに。
これで本当に問題がないのだろうか？？

さらに「国籍がある」と言われても喜べない、もう一つの理由。
ユキは杭州で戸籍登録をしていないので、中国で言うところの「没戸口」（無戸籍）状態なのだ。
中国では一人っ子政策に違反して罰金を払わない場合、戸籍が登録できない「没戸口」の人がたくさんいるのだが、
国籍はあっても戸籍がなければ、医療保険にも加入できず、公立学校にも入学できず、大学入試も受けられず、運転免許も取得できず、
正式に結婚もできない。
今になって「中国国籍がある」と言われても、戸籍がなければ結局何の役に立つと言うのだ？

うちの場合は一人っ子政策に違反している訳でも何でもないので、今になって「国籍がある」と公安が言うのだから
今からでも杭州戸籍を申請できるのか？と聞いてみたところ、
「それは民政局の管轄だから、あちらに聞いてくれ。でもその場合は、中国は二重国籍を認めていないのだから、
日本国籍を離脱した証明が必要になるだろう。」という回答。
もう何だか、堂々巡りである。

こちらとしては、最初からもらった覚えもない中国国籍を今更「有る」と言われ、
やっぱり要らないと言っても「きちんと離脱手続きをしろ」（しかも有料！）と言われて、
言い方は悪いが、何だかヤクザに言い掛かりをつけられたような気分。

しかももっと大きな問題が。ユキは来年小学校入学を控えているのだが、このままでは外国人としても、中国人としても小学校に入学できないのでは？？
杭州の公立小学校では外国人の子供も受け入れているのだが、その場合は教育委員会を通じて外国人として入学を申請することになる。
しかし「中国国籍がある」と言われ、外国人としてのビザがないままでは、ユキは外国人と見なされない可能性が高い。
中国人として小学校に入学させてやりたくても、これだけ厳しい杭州の小学校入学事情を考えると、杭州戸籍どころか戸籍そのものがないままではやっぱり入学を断られるのではないか？？

そのあたりの疑問を公安の担当者に話すと、
「とにかく中国は二重国籍を認めてないんだから、本来こういうやり方（中国→日本へは中国人として「通行証」、日本→中国へは日本人としてノービザ）は歓迎しない。今の時点できちんと中国国籍離脱手続きをするべきだ。」とキッパリ。
「まさか日本国籍より中国国籍が要る、なんてことはないだろうし。」とまで言われてしまって、呆然。

去年この解釈が導入？されてから、既に多くの国際結婚家庭の子供が中国国籍離脱手続きに来ていると言う。
国籍離脱手続きは、すべて北京に送って審査されるため、半年から一年もの時間がかかるらしい。

来年のユキの入学に間に合うのか！？
間に合わなかったら、一体誰が責任取ってくれると言うのだ！？？

とにかく新しい？法律の解釈とやらに振り回されて、その時は呆然と公安局を後にしたのだった…。（続く）