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誤字・当て字・句読点の間違いだらけ‐中国国語教科書問題

2012-06-14 23:13:24 | その他
2010年、河南省のある作文塾の校長が教科書の出版社を相手に訴訟を起こした。

訴えを起こしたのは河南省の彭幇懐氏。師範大学の修士課程卒業後大学教師を経て、小中高校で20年以上教師を務め、今は自ら作文を指導する塾を開いている。訴状によると、2007年江蘇教育出版社の小学三年から六年までの国語教科書上下冊、計4冊について調べたところ、誤字・当て字・句読点の間違いが計68ヶ所も見つかったため、教育部と教科書の出版社に訂正するよう手紙を送ったが、先方は間違いを一切認めなかったため、訴訟に踏み切ったという。

なぜ小学校教科書の間違いについて訴えを起こしたのか?
彭幇懐氏は「訴訟を起こしたのはただ純粋に小中学校の教育のため、これまで教職に携わってきた者としての職業道徳によるものです。義務教育の教科書にこのような間違いはあってはならないことです。なぜなら生徒達にはまだ間違いを判別する能力がないからです。私は彼らに間違ったことを教えるわけにはいきません。」と言う。

例えば6年生下冊の38ページ「練習2」の第一問には「耙」のピンインを「(pa)」と書いてあるが、教科書本文では「(ba)」となっている。さらに5年生下冊92ページ9行目には「……等等」と書いてあるが、省略記号である「……」と「等等」は重複するためこの用法は誤りである。

「小学生の子供には、正しいか間違いかの判断はできません。教科書に書いてあることがすべてなのです。私達教師は授業は必ず教科書に沿って行います。もし教科書に間違いがあれば、それをどう子供達に説明すれば良いのでしょう。」

今回の間違いの指摘について、彭幇懐氏が主な参考文献に使ったのは最新版の『現代漢語詞典』『新華詞典』及び義務教育新課標、国家語言委員会による『標点符号用法』など権威ある工具書、関連規定である。

「長年の教師生活で、あらゆる教材を見てきました。ネットでは私のしている事を売名行為であるとか、自分の塾の宣伝のためだろうと非難する人もいます。指摘している間違いは細かすぎるとか、まじめすぎるとか言う人もいます。それでも私を支持してくれる人たちもいます。」

彭幇懐氏の調査では、教科書には4種類の間違いが存在する。

1.挿絵
例)6年生下冊38ページ「耙子」(熊手)に添えられている挿絵は「耙子」と何の関係もない。
高圧電線の挿絵には5本の電線が描かれているが、電線は2本で一組のはずなので5本というのはおかしい。

2.誤字・当て字
例)「叮[口冬]」と「丁冬」

3.同じ意味なのに語句が統一されていない
例)同じ意味なのに、4年生では「片段」、5年生では「片断」という語句を使っている。

4.句読点
句読点の用法が『標点符号用法』と異なる箇所が多くみられる

訴状は却下されたが、2011年、教科書の改訂にあたり江蘇教育出版社は彭幇懐氏の指摘していた間違いについて一部を訂正または削除を行っている。しかし彭幇懐氏は2011年の改訂版の中にも43ヶ所の間違いが存在すると言う。

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中国では新聞や出版物に誤字があるのはしょっちゅうなので、教科書に誤字があるのもある程度仕方がないかもしれないが、
それにしてもどうしてこんなに多くの間違いが、指摘を受けてもなおそのまま何年も放置され続けているのだろう。

編集や校正の過程のずさんさが見て取れる。
その教科書を暗記させられる子供達が最大の被害者であることは変らない。

出典:
河南老師再挑錯蘇教版語文書 指43処錯或不規範
http://cul.sohu.com/20110225/n279519972.shtml

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http://www.chinaxwcb.com/zhuantibaodao/2007-08/28/content_78622.htm

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http://news.xinmin.cn/shehui/2012/03/22/14125910.html


日本では「教科書に間違いがあるはずない」という認識が一般的かと思うが、
中国では「教科書に間違いはあるもの」だという認識をもつのが正しいかも知れない。

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