熊は勘定に入れません-あるいは、消えたスタージョンの謎-

現在不定期かつ突発的更新中。基本はSFの読書感想など。

彼氏と彼氏の情事の事情

2005年02月23日 | Wolfe
前回からの続き。

アンドレーってアンドレ・ジッドのことか、と思った時、そういえば
秘書(かどうかは原文を見ないと、なんともいえないが)の性別って、
どこにも書いてなかったことに気づく。
げ、これってもしかして…

と思いまたもやネットを漁ってみると、あっという間に
「ジッドもプルーストも同性愛者である」と判明。
秘書の頬を見て欲情するあたり、どうも怪しいとはにらんでいたが
案の定といったところである。
さらにこの部分は、ホームズとワトソンの関係のパロディにもなっているようだ。
(あるいは二人がそういう関係だったという読みをほのめかしているのか)

さらに、松岡正剛氏の「千夜千冊」における『狭き門』レビューにより、
ジッドの従姉で妻だった女性がマドレーヌという名だとか、その夫婦生活が
異常なものであったこと、またジッドがプロテスタントだったとか、それを
批判した挙句に共産主義に傾倒したということを知ることができた。
こうなると、『探偵、夢を解く』から読み取れるモチーフのオンパレードも
いいところである。

またプルーストの『失われた時を求めて』が、実はゲイ小説の裏返しであったことも
松岡氏のものを含めたいくつかのサイトで、初めて知った。
ジッドとプルーストがそういう関係にあったかは不明だが、その可能性は決して
少なくないと思える。

こう考えると、女性を想定したあの箇所の訳文は見直す必要があるかも。
しかし今回の件は、「ウルフの文章に書き流しなし」という事実を
改めて突きつけられた感がある。

『ケルベロス第五の首』でも疑惑がささやかれたウルフ、かれもやっぱり
ディレイニーやディッシュのようなゲイ人さんなのだろうか。
もしそうなら、彼らこそ「ゲイは身を助ける」という言葉を痔で…もとい、
地で行っている作家たちと考えて良さそうだ。

書くまでも無いほど有名だが、「千夜千冊」はこちら。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya.html

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