【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会副会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

火神主宰 俳句大学学長 Haïku Column代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

第4回「中村青史賞」を受賞して

2024年09月11日 23時18分47秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

「くまがわ春秋」2024年9月号よりお知らせ!

令和6年 第4回「中村青史賞」を受賞して

                   永田満徳

このたび、令和6年第4回「中村青史賞」を頂き、身の引き締まる思いです。選考いただいた「一般社団法人くまもと文化振興会」の理事の方々に、心より御礼申し上げます。

「くまもと文化振興会」の顧問を務められた中村青史先生は、徳富兄弟、夏目漱石、小泉八雲ら熊本ゆかりの文学者についてのさまざまな顕彰活動が認められ、2019年に「熊日賞」を受賞されました。それをもとに、 2020年に創設されたのが「中村青史賞」です。

「中村青史賞」は、その年に熊本の文化芸術面において貢献した者へ贈られ、素晴らしい文化活動に対する顕彰として、熊本の文化界で重要な存在となっています。

中村青史先生との出会いはかれこれ50年ほど前、私が大学を出たばかりのころです。「熊本歴史科学研究会」会員の永野守人氏の家に招かれたときに初めてお目にかかりました。その席で、中村先生に「文学研究を続けたい」と思いを述べたところ、「熊本には誰でも入れる『熊本近代文学研究会』があり、代表の首藤基澄先生に紹介しよう」ということになりました。

「熊本近代文学研究会」は毎月一回の研究発表と機関誌「方位」の寄稿という車の両輪で行われていました。私はそこで、夏目漱石や木下順二、小泉八雲などの研究を発表したり、寄稿したりしました。熊本の文学者を扱った単行本『熊本の文学』(審美社)では三好達治、蓮田善明、三島由紀夫を担当しました。これらは熊本カルチャーセンターで講師を務めている「熊本の文学」講座の12講座や、その他の講話の基になり、貴重な財産となっています。

また、首藤基澄先生には俳句を勧められ、現在、首藤先生が創立された俳誌「火神」主宰や俳人協会幹事、俳人協会熊本県支部長を任されています。第二句集『肥後の城』(文學の森、令和3年9月発行)では熊本の風土を詠み込んだものとして、第15回「文學の森大賞」(令和5年)を頂くまでになりました。

中村青史先生の紹介がなければ、今日の私の熊本ゆかりの文学研究はないと思っています。

中村青史先生は熊本出身の文学者の顕彰の会を数多く立ち上げてこられました。中村先生のそばにいると、熊本の文学がじかに感じられて、中村先生から推挙、または勧誘いただいた熊本の文学顕彰会には、すべて加入しました。

さらに、中村青史先生は「若い君が頑張れ」という励ましの言葉と共に、私を「熊本文化懇話会(文学)」の会員や「熊本アイルランド協会」の理事に推挙してくださいました。私を育てようというお気持に感謝の言葉もありません。「徳永直の会」「熊本・蘆花の会」においては中村先生が会長を退かれる際に相談を受け、知り合いを紹介したり、仲介を務めたりしました。私をそれほど信任していただいたことに胸が熱くなる思いでした。

このように、中村先生の冠のある賞を頂いたことは、中村青史先生に愛弟子のように育てていただいた私にとって、大きな喜びです。また、「火の国『くまもと』の文化を世界へ」を標榜している「くまもと文化振興会」によって表彰を受けたことは、熊本の地から国際俳句の改革を発信している私にとって、大きな励みになります。

今後は、中村先生のご遺志を引き継いで、熊本の文化の発展に貢献していくことが中村先生の御恩に報いることであると思っています。その具体例として、熊本文学の研究・顕彰はもとより、国際俳句の指導添削の場であるFacebookグループ「Haïku Column」を通して国際俳句の興隆に勤しみ、俳句創作においては、夏目漱石の言葉とされる「俳句はレトリックの煎じ詰めたもの」に倣い、連想だけでなく、オノマトペ・擬人法・同化などを駆使して、ますます多様な表現に挑戦していくつもりです。そうすることによって、漱石俳句を継承すると共に、正岡子規の新派俳句を熊本にもたらした夏目漱石の顕彰に努めたいと思っています。

(ながた みつのり/俳誌「火神」主宰 熊本近代文学研究会会員)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする