外国人観光客のお目当ては鹿なのか、大仏なのか、わからない。南大門をちらっとみては、鹿と写真を撮るのに夢中だ。鹿のほうはだれであれ、せんべいが欲しくてすり寄ってくる。人間に関心があるわけではない。
久しぶりに眺めた南大門は、今日もびっくりするほど大きい。新幹線の中で司馬遼太郎の「街道をゆく・奈良散歩」を読んでいたせいか、額に掲げられた「大華厳寺」の文字が踊って見える。ここはそう、華厳経の世界なのだ。
「平安仏教が加持祈祷のようなオカルトに堕したのに対し、東大寺は華厳という雄渾な世界観のおかげで、知的な清華さをたもちつづけているともいえる」。司馬さんの本は、絶好のガイドブックだ。
奈良にくれば、大仏さんにお願いすることがある。南大門とおなじく大仏殿も巨大だ。なかに鎮座する大仏さんは、なぜかもっと大きく見える。
境内の勧学院で、ちょうど「仏教とその宇宙」の講義が始まる時間だったので、「入場無料」につられてはいってみた。小さな部屋はほぼ満員で、なんとなく場違いな感じを受けて出てきてしまった。
こんどきたときは、ぜひ1時間でも勉強してみよう。
「このぐらいの雨なら」と15日の日曜日、埼玉県小鹿野町に出かけ、ハーフマラソンに出場した。秩父市の隣りの小さな町で、200年以上続く地芝居の「小鹿野歌舞伎」は、関係者の間では全国的に有名だ
ロードレースはことしで第45回目の大会となり、市民マラソンの草分けといわれる青梅マラソンに近い歴史をもつ。
江戸時代の宿場町の雰囲気を残す中心街をスタートし、山間の路を左右に曲がりながら、折り返し点まで少しずつ登っていく。清流にかかる橋をいくつか渡り、目に映る澄んだ水が元気をくれる。
折り返してしまえば、あとは心地いい下りがつづく。ゴール前7キロ地点の峠の上り下りは、ちょっとしたおまけみたいなものだ。
街の小さな大会の雰囲気が気に入り、2011年からほぼ毎年参加している。ことしは、痛めていたわき腹を少し気にしながらのレースだった。雨の中でも走り出してしまえば、「今年も参加できてよかった」という気持ちでいっぱいになった。