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走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自信と診療看護師

2018年11月29日 | 仕事
昨日の続きです。

裁量権を得て自分の責任になった時に自信を持ってやっていけると思う診療看護師はどれくらいでしょうか?

私は 「自信があります」と言う人の方が怖いと思います。前にも書きましたが、NPになりたいと思って進学したにもかかわらず、初めての実習先で、卒業前に、免許を取得した時と3回ぐらいその責任の重さに足が震えたものです。私一人ではありません。級友も先輩も同じ事を言います。研修医とて同じです。

それはさておき、ツイッターでも頻回に見かけ、気になるのですが、日本の診療看護師の方の卒業後の卒後研修の長さと意義です。施設や就職先で違うと思います。

BC州はそれはありません。あった方が良いと言う人もいますが今のところ変わっていません。

忘れてはいませんか?医師になるのではありません。1人前になるまでに時間をかけすぎるのであれば、コストパフォーマンスが下がります。1〜2年研修に回っても基礎にある医学知識の量が医師とは違うので、同じような事をしてもできることは限られます。それは裁量権のある私たちでも同じ事です。

NPコースで学ぶものは基礎の基礎で、決められたスコープの中で安全に患者ケア(診断と治療)ができる事を目指し、もっとも大切なのは自分の限界を心得る事です。その限界線が明確だから、いつ専門医に紹介しなければならないかの決断が下せるのです。

以前にも書きましたがプラクティショナーと言うのはNPだけではなく医師 (専門医以外の医師をGeneral Practitioner)もそう呼びます。何故なら私たちは持っている知識と技術を持って患者ケアを通して日々鍛錬しているから。医療は日々進化し、その中で働く私たちにとって成長は永遠に続く職業だからです。GPはGPなりの、NPはNPなりの枠を持ってです。なので何もかも知らなければ1人前になれないと言うのなら、その日は永遠に来ないでしょう。

ファミリーNPコースではプライマリー ケア領域 (日本で言う在宅医療とは異なりますからお間違えのないように)で新生児から高齢者に頻回に起こる疾患を広く浅く学びます。それぞれの疾患を深く学んでいくのは正直言って実際働きだしてからです。病院で働くNPは就職してからその分野の専門性をオリエンテーション中に学びます(と言っても過去に働いていた分野に戻る人が多い)。看護師時代の経験はNPになってからも役に立ちます。

人間は使わない知識は忘れていくものです。診療看護師になってから使うはずもない分野をローテーションして何を得るのでしょうか? 反復した経験は記憶に残る可能性がありますが、反復学習出来る程、同じ症例ばかり診ているわけではないでしょう?

知らないと怖いからできるだけ経験を積みたい、と思う人もいると思います。経験はないよりはあった方がマシです。しかし、自信を持って独り立ちできる日なんて来ることはありませんから。それよりも学生の間に基礎をしっかリ学び、どんな環境でも基礎に応用が効く柔軟さ、そして自分の限界を見極める正確さを修得して欲しいと思います。そして卒業してからも学びの姿勢を忘れずにで毎日コツコツ経験を積む事がもっと重要です。現場に出る事を恐れずに (知識に限度があることは忘れずに)、全うすべき使命に向かって活動を開始して欲しいと思います。

本当に裁量権を得た時に、私の言っている意味が理解できると思います。

いつか日本にその日が来ますように、、、、

続く


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