走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

チームワーク

2014年10月29日 | 仕事
先週、自分の仕事についてプレゼンする機会があった。視聴者は地元の医師、州の保健局のお偉いさん、私が勤めているHAのお偉いさん、医療に関わるNPO団体代表などなど60人あまりだった。それ以後たくさんの方々からお褒めの言葉をもらっている。噂は他の街まで届いているようで、しばらく会っていない大学時代の級友からも電話をもらい驚いている。 メンタルヘルス、薬物依存、ホームレスの患者さんたちは「難しい」と言 . . . 本文を読む

パワー

2014年10月28日 | 仕事
久しぶりのカンファレンス。精神科系のカンファレンスは初めてだ。 テーマはサイコーシスからの復帰。午前は著名な教授から臨床と最近のエビデンスについて。午後からは患者と家族の体験談。 緩和の時もだったが患者と家族の体験談ほどパワフルなものはないと思う。午後の部はサイコーシスからの回復にて音楽が彼を支えてくれたと言う27歳の青年。自作の曲と好きな曲を5曲ほど披露。メッセージが強く体が震えるほど感動した . . . 本文を読む

三面鏡

2014年10月27日 | 仕事
ウイリアムが退院した。 ウイリアムの前編はこちら 。 状況を考慮して彼の退去は月末まで延長された。退院したと言っても今だに薬の調整をしていて、病院から看護師が観察のために毎日訪問しているとか。 無表情な彼は変わっていた。にやにやと笑うのだ。その上自分は賢くお前たちは豚だと言う。音楽の話をする時はベートーヴェンやモーツアルトまでバカにする。私は始めて患者と一緒にいて「怖い」と感じた。マニックの . . . 本文を読む

法の狭間で

2014年10月26日 | 仕事
プランaはジェシカが口約束どうり薬物依存と妊娠のクリニックに通ってくれる。私は彼女のケアを手渡すことに成功してご苦労さんコース。 プランbは上記のクリニックに行くことを拒否するが、私のところで定期検診に来るコース。 プランcはaもbもダメになったケース。警察を呼び彼女に意思決定能力がないと判断し、その検査目的で精神科医の診察のために病院へ連れて行くコース。 ジェシカの意思決定能力はいつも話題 . . . 本文を読む

2014年10月25日 | 仕事
ジェシカは嬉しいことに期待を裏切ってシェルターに留まってくれた。翌週診察に行きその翌週も。 ジェシカの前編はこちら。 もちろんシェルタースタッフからの電話は止まなかった。薬を飲まない、ルームメイトが彼女の持ち物を盗んだと騒ぎ出す。いなくなった、、、、 10日の間に色々なプロフェッショナルと彼女のケースを相談し、これからどうするか計画を立てることが出来た。 絶対行きたくないと言っていた薬物依 . . . 本文を読む