メグブログ(美咲歌芽句)

Jeane+荒涼天使
 (ex.Mr.Kite)

嵐とともに

2007-07-14 23:48:33 | 日記
今日、嵐とともにまた私をしあわせにする一通の葉書が舞い込んだ。
台風4号の激しい雨の中配達されたその葉書は、所々濡れていてインクがにじんでいた。
やわらかい角張った文字でびっしりと埋められた文字は葉書の一面では足りず、裏の住所の面にまで書かれている。差出人は中上哲夫氏。
そうだ、私は中上さんにも自分の詩集を贈っていたんだった。
ビート詩人で翻訳家の中上さんは、ジャック・ケルアックやチャールズ・ブコウスキーなどの翻訳の他にも、パティ・スミスの詩集「バベル」の訳もされていて、白石かずこさん同様私の尊敬する詩人だ。こちらもまた返事をもらえるなんて思っていなかったので、またしてもドッキンドッキンと胸が高鳴る。

「あなたのビートニックな生き方と詩に圧倒されました。わたしたちがビートを読んでいたとき、あなたはビートを生きていたんですね。やわなわたしにくらべて、あなたは百倍もビートニックです」
という言葉には感激する他はない。日本のビート詩人の代表者でもあるような人から、こんな言葉をいただけるなんて信じられない。思わず我が目を疑う。
そして、どの詩もパワフルだけど特に「ジプシー・ソウル」、「憧れ」、「Beautiful Violence」
、「ポーズ」、「Set Me Free」などがすばらしいとある。また「海とミウ」、「月夜」は叙情的でいいと。更に「最後の“希望”は一種のビートニック宣言ですね。わたしはすっかり歳をとりましたけど、この詩集を読んで生涯ビートニックとして生きる決意を改めて強くしました」という下りを読んでは、感激のあまりもう言葉を失うしかない。
これは誰あろう中上哲夫氏からの私への言葉なんだ・・・もったいない。ゆめゆめ忘れるなと自分に言い聞かせる。
そして最後に「和製パティ・スミスに拍手」とある。
最上級の褒め言葉。うれしい!

このインクのにじんだ葉書を眺めながら、やっぱり私はあの詩集を出してよかったんだと改めて思う。人の心に届くものを送り出せた私はしあわせだ。外は嵐。屋根を打つ大粒の雨音と、ゴウゴウと吹き荒れる風の音を聞きながら・・・こんな嵐の夜でさえ人はこのように言葉によって、心の中に暖かくてやわらかい“しあわせのともしび”を灯すことができるのだという確信を新たにする。
私の宝物がまた一つ増えた。
中上哲夫さん、ありがとう。