何となく奈伽塚ミント・純情派

不覚にも連続更新ストップ。
少々夏バテ気味だったし
定期更新に切り替えかも?

そんなこんなで奈伽塚ミント

私という名のノンフィクションVer.2 第二章 『その日』前触れ~喪失

2004-07-21 04:11:44 | 『私という名のノンフィクション』
 ――その日も,始まりはいつもと変わらずごくごく平凡。私の日常は,まだ日常と感じられるものと
してそこにあった。



 ただその日は朝から強い雨が空から降り注いでいた……。



 思えばそれが警告だったのかもしれない。

 思えばそれは忠告だったのかもしれない。

 ――あぁ,そうだ。きっとそうだ。あれが不吉の前兆だったんだ。これから起こることを私に告げて
くれていたんだ。今ならそれに気づくことができる。

 けれどその日の私は気づけなかった。そんな大切なことを見落としていた……いや,違う。雨が降り
注ぐことに気づいても,それが大切なことだなんて思えなかった。あまりに幸せ過ぎた日常に,日和っ
ていたのかもしれない……。

 ――『~かもしれない』で物を語るのは止めにしよう。今更そんなことをしても意味はない。何が分
かったところで,その日に戻ることなんて叶わぬ夢なのだから……。

 そう,あるのはただ事実だけ。その日の私が気づけなかったというただそれだけ。

 だから――だからそれは起きてしまった。





 彼女はあまりにも唐突に――それこそ嘘だと思えるほどにあっけなく,私の前から消えてしまった…
…。





 ――私はそれが夢や幻だと信じた。信じたかった。一度は信じ切った。しかしそれは,残酷なほどに
現実としてそこにあって――。

 その瞬間になってようやく,私は彼女を喪ったことを知るのだった……。