ターザンが教えてくれた

風にかすれる、遠い国の歌

Can you paint with all the colors of the wind?

2012-08-17 14:23:07 | 日々


こんなおっさんに
なんでこんなにやさしくしてくれんやろ

って、思うんだよねー。





去年なんだけど
ちょうど暑い夏も終わって
そろそろ秋の風が吹いたかなってころ
いつも行っているうちのジムが急に込みだした。

会館入り口にある受付を済ませて
ジムへ顔を出すと
もうすでに広いエリアにあるすべての
マシンが人で埋まっていて驚いたよ、
こんなことって今までないもん。

なんで、なんで?って思ってたら
隣接した区にある2つのジムが
耐震工事をするだとかで
たっぷり2ヶ月の間休館したおかげで
そこの利用客がみんなこちらのジムへ
やって来るようになったからなんだ。

もう、ね、
それからがたいへん
混んじゃって。

そこかしこでトラブル頻発(笑)

思うだけどさ、
これは初心者だとか
年季の入ったとかの問題じゃないな、
えと、何ていうか
真剣さとセンスの問題なんだけど、

どんなに混んでいても
上級者が相手だと
順番待ちだってスムーズにまわるんだよね。

自分の使いたい器具が人でいっぱいでも
じゃあ今日は他の種目でやるか!とか
臨機応変にその時の状況に合わせられるし、

待っている人の気持ちだってよくわかるんで
すっげー重量をがんばった後で
ちょっと長めにインターバルを取りたいときとかは
その間、待ってる人に声をかけて
うまく交互に使って
おまけに補助し合ってみたりもしてさ。

真剣に筋トレをしようとする人同士だと
そこのあたりのことを上手にできるので
多少混んでいたって
無駄に待つこととかがほとんどないんだよね。

それか、
ほんとうにすごい身体をしていて
それこそボディビルの大会に出るんだみたいに
マジにトレーニングをしている人だと、
これ長々とマシンを使っていても
それを見てるだけでこちらのモチもあがるし
話しかけてみるといろいろ教えてくれたりもして
得ることも多いんで自分的には歓迎ムード。


一番困るのが
きちんと筋トレの基本とかバリエーションを
何にも勉強しないままに
いつまでたっても我流のトレを繰り返す人なわけね。

ひとつのマシーンを占領して
見るからに効果の薄いような
中途半端なことを長々と繰り返す。

リハビリをやってんなら別だけど、
適切な重量での筋トレだったら
そんなにいつまでも
だらだらと同じ運動なんて
できないわけだからさ。

だから一年経っても
あなたの身体がぜんぜん変わらないんだよ~
って思うんだけれどもね。

自分は基本的にすごく欲張りなんで
無駄なことや効果のないことはやりたくないって思う。
中途半端なことをチンタラやったって
どうにもならないもんじゃん。
せっかく自分の人生のなかの
大切な時間を使ってやるんだったら
最大限に見返りのある効果的な方法を知りたいもん。

だからさ、
自分は興味のあることに対しては
基本的にすごく真面目なんだと思う。

自分の先輩にあたる人たちが
それこそ切磋琢磨、試行錯誤の末に
さまざまな方法やセオリーを編み出してきたわけでさ、
それらをちゃんと理解し体得して
なるべく多く自分に取り入れておくことが
結局は
自分自身がどれだけ大切な人生を
有意義に生きることができるかに
つながることだと思うからね。

だから、こう見えても
案外真面目なんだよ。

たとえば
インスタント食品買ってくるじゃん、
でね、それが初めて手にした商品だったらさ
袋の裏に書いてあるおいしいつくり方っていうの
その通りに必ず最初は作ってみるわけね。
そこで自分のアイデアとかやり方は我慢するの。

だって、その商品はその会社がなんとしても
客に買ってもらいたいわけでさ、
作り方だってそれこそたくさんのやり方を検討した結果
ま、一番無難で理にかなった作り方ってやつを
それを手にした客に教えてるわけでしょ。

だから、とにかくその基本ってやつをまずやってみる。

自分の新しいアイデアや好みに合わせたアレンジは
ベーシックをちゃんと理解したあとで。

これはいろんなことに対して
勤めて守ってることなんだよね。

自分独自の味付けやアイデアやアレンジは
あとになっていくらでもできんだもん。
はじめにベーシックということをちゃんと理解しておく
ということが結局は
ものごとを有意義に楽しく体験するということに
一番の近道だと思うんだけどな、自分はさ。

だからさ、
筋トレに関したって
基本に忠実で
できるだけ真面目でありたいといつも思ってる。




でね、
さっきの近くのジムが
新しい利用者で溢れかえってる話なんだけど。

その中にいたんだよ。

見るからに大きな身体で背も高く
発達した大きな筋肉がすごく美しい、
まるでギリシャ彫刻が動いてるみたいだなぁって

それが彼を初めて見たときに思ったこと。

もちろんその休館になっている
ジムからやってきたんだなってことはわかるけど
とにかくいろんな意味ですごく目立ってたもんね。

面白いことに
そのジムによって暗黙の了解ごとっていうか
それぞれに微妙なルールがあってさ。
マシンの順番の待ち方だとか
この器具は人気があるものなので
集中してぱぱっとするべきだとか、
まあそんな風なことなんだけどもさ。

おしなべて他所から来た客って言うのは
そういうことを無視して
自分のやりたい方法でどこでだって押し通そうとして
至る所でトラブルになったりするんだけども。

そのギリシャ彫刻の兄貴は違ったんだよ。

ちゃんと自分はここでは新参者なんだということを
気にしつつ、変なことをしないように注意して
無駄口ひとつ叩かずに
ひとりでもくもくとトレーニングをするわけ。

それがさ、
気になってちらと見るたびにちゃんとわかるんだよね。

能ある鷹が
周りを気遣って大きな羽を小さくしてる感じ。

とにかくね、
これはひたすらに美しい!と思ったんだ。

マッチョな人には
それこそ野獣のようなアニマリックな
雰囲気の人も多いんだけど、
彼は何ていうのかな
もっとそこに知性と分別って雰囲気を感じたな。

実はその彼は
自分のいつものビルダー先生の知り合いだったんだけど、
(それは後で知った)
トレーニング中は決して知り合いといえども
無駄話しをしないんでわからなかったんだよね。

で、そのビルダー先生から聞いたことなんだけど、
彼の年齢は27歳で、
何でももともとはキックボクシングの選手だったんだって。

なるほどね、それでわかったよ
そのすごい体躯の意味が。

まるで戦う甲殻生物みたいなんだもん。
ウエストがぎゅっと締まっていて
その分背中から肩への筋肉が
ありえんくらいに発達していて
むりやり膨らませた筋肉ってより
全体的に非常に密度が高く
無駄のない筋肉の塊って感じ。

で、ま、これは蛇足なんだけど
顔もこれまたありえんくらいにイケメンさん(笑)

それに力があるんだよね(あたりまえだけど)
とんでもない重量のトレを
ひとり黙って淡々とこなすんだよね。

それからはジムに行くとかならず
そのボクサー兄貴と顔を合わせるので、
休憩の合間にでも少しずつ
話すことができるようになったんだ。

でね、
お互いに次第に打ち解けてくると
いざトレーニングの時には
すごい真剣でちょい怖い顔の兄貴も
普段だと朗らかだしニコニコとよく笑うってことが
段々とわかるようになってきた。

明らかにこちらが年上なので
一応は丁寧な言葉遣いなんだけど、
でも、必要以上の敬語使いってわけでもなく、
非常に気さくにフランクな感じで
接してくれたことが嬉しかったな。

いやいや気さくって言うかさ、
こんなおっさんを見て
「かわいい、かわいい」って言うんだよね(笑)

確かにさ、
自分のタイプとして
同じ年齢の同級生とかに比べて
貫禄とか年季っていう要素を
もともと持っていないんだけれども、

子供だか大人だか
さっぱりわからないみたいなさ。

多分ね、
彼の今までの人生において
周りにこんな自分みたいなタイプが
いなかったんだろうなって思うわけ、
だから珍しいんだろうな、って思う。

それでも
そんな素敵な若い兄貴から
かわいいなんて
面と向かって言われたら
恥ずかしくってモジモジしちゃうぞw

周りに人が居ようと居まいと
そうやってかわいいと言われ続けて
そろそろ2ヶ月が経って
残念なことに彼のもといたジムの工事も終わり
来週からはもうここには来ないとなった
最後の日、

ボクサー兄貴が急にかしこまってさ
両足を揃えて気をつけの姿勢で言うわけよ、

「短い間ですがありがとうございました。
 せっかく知り合えたんで
 また、時々はこちらのジムにも来ます。
 で、もしよければ連絡先を交換してもらえませんか」

とか、さ、

もうびっくりしちゃったよ。
礼儀正しくてきちんとしていて
とんでもないマッチョで
とんでもないイケメンで(笑)

こんなかっこいい男も
世の中にはいるもんなんだなぁって
ほんと正直そう思ったもんね。

結局ね
馬が合うってことなんだと思う。


だって、
それからメールのやりとりが始まって
結局は
今度は自分の方が彼のいるジムへ
毎週通うようになったんだから。

やはりトレーニングをしながら
すぐそばで見る彼の肉体はすごいわけよ、
もうさ、眩しくて毎回最初の30分ぐらいは
まともに見れなかったもんね
なんか照れちゃって(笑)

それほどまでに迫力のある
若くちからのある身体、すごいね。

それに優しいんだな、これが。

ある時なんて
ジムの片隅に連れて行かれたんだよね、
彼から小声でちょっと話があるんで
とか言われてさ。

なんでもその日は
ちょっと変わったわがままな利用客がいて
すでに何人かとトラブってるらしく、
「もし何かあったらすぐに言って下さいね。
俺が全部対処しますから!」
とか言ってくれちゃうわけよ。

びっくりしちゃった、
あまりのイイ男っぷりにさ。

実際は親子ともいえるほどに
お互いの年齢が離れているからなのか、
そうやっていつもすごく気をつけて
丁寧に接してくれるのが
ほんとうにありがたく感謝でいっぱいだね。

自分はといえば
一応トレーニングのパートナーっていうか
お互いに補助し合ったり
できる限りお手伝いになればと
思ってるんだけども、

彼は毎回もうほとんどプロのような
ハードな筋トレをやるので
その足手まといにならないように
するだけで精一杯なところなんだけどさ、

それでも一緒に筋トレができるということは
自分の持っている時間の中において
ものすごく意味のあることだと思うんだよ。

すんげぇ楽しい。

ひとりでちまちまやるのとは
自分の身体の変化が全然ちがうもん。

とにかくこうやって
ボクサー兄貴と一緒に
有意義なトレーニングができることは
ほんとうにほんとうにありがたい。


トレーニングってさ、
ほんとうに素晴らしいと思うよ。
そうやって真面目にやっていれば
素晴らしい人と思わぬ出会いもあるし
また、何よりも
自分自身の身体がちゃんと変化して行くのが
たとえ、、何歳になったとしても
それはとてもいいことなのだと思う。

自分は思うんだけれどもさ、

この人間の肉体ってほんとうに
すばらしく複雑で精巧で美しいものだと思うんだよね。

だから、そんなすごいものが
単に生物の進化だけでできるものなのか
すっごく不思議じゃん?

やっぱりさ、
そこには人知を超えた何か大きなものの
ちからとかがあるような気がしてならないんだよね。

神経が通って血液が流れて
いろんな身体のパーツが組み合わされて
だから毎日人間は動いてます。
ってだけでは僕は納得できない。

この身体は地球から
だいたい80余年の契約でレンタルされていて、
自分自身というものの正体は
その借り物の肉体なんかではなく
その中に宿るべきものなのだと思ってる。

それはいろんな名前で呼ばれてるんだけど
僕はそれこそが生命「いのち」と言う名の
この自分自身なんだと思う。

だから、さ
筋トレをしようって思ったんだ。

子供のころから病弱で身体も華奢で
いろいろと弱っちい自分だったんだけども、
それは本当の自分自身じゃないんだな、って
あるとき思ったんだよね。

弱い身体の自分は
レンタルしてる肉体という名の借りもの問題であって、
その中に宿る生命という名の本当の自分自身は
実は健康で強く美しいものなんだなって
そう、思ったの。
すごくそう思った。

本来の自分自身というものは
これは絶対的なもの、
変わりようもなく、また変えようもないもの。

でも、だからこそ、さ
それ以外のもののこと
レンタルした肉体なんてどうにだってなるさ
って、思うんだよね。

中心にあるこの自分自身。
ふたりの親からもらった生命、
それはもっと昔に続く大勢の人から
伝えいただいたもの、

生命って比べるものがどこにもないくらいに
ほんとうにほんとうに美しいものだと思うから、さ

そのとんでもなく美しいものの入れ物である
この身体も少しでもきれいにしたいなって思ったんだ。

だからね、
自分は身体を鍛えたいんだよね。

夜の眠りから朝ちゃんと目覚めて
また今日も一日ちゃんと生きることができる。
生命の営みをそうやって
間違いなくずっと続けていけるって
奇跡に近いことだよ、ほんとすごいこと。

僕はね
自分で生きているなんて
そんなこと
ひとつだって思ってないんだ。

自分よりも大きなちから
人々は、それを神様とかいろんな名前で
呼ぶのかもしれないんだけれども、

とにかく
この自分は生かされているだなって思ってる。
そういった大きなものに
この自分自身の生命は生かされていると思ってる。

だからさ、

そんな毎日生かされている生命ってやつを
入れる容器(うつわ)である身体を
できるだけ綺麗に保ちたいって思ってる。

ダンベルをもって
バーベルを握り
マシンに座って息を整えるごとに

ありがたいな、って

生命はほんとうにありがたいな、って

そう思ってる。

いつだって僕はほんとうに

そう思ってるんだ。




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4 Comments

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Unknown (yu-chan)
2012-08-17 18:15:39
はじめまして。

二年前の四月の記事、「リキュールの恋人(笑)」で、b-minorさんの「ターザンが教えてくれた」を知りました。

確かミントリキュールの飲み方を検索していてなのですが、記事にはチェリーチョコレートフィズも出てきてびっくりしました。
私、片岡義男さんの描かれるもの好きで、この時もその繋がりで調べていたので。
それに、湾岸道路にもかなり惹かれた頃があり、憧れていた飲み物だったんです。

それ以来、時折、更新された記事や少しずつ以前の記事も見ています。
b-minorさんの文章や写真、好きだなと感じます。
これからも楽しみにしています。
それをお伝えしたいなと思い、コメントさせていただきました。
返信する
ありがとうございます。 (b-minor)
2012-08-18 01:21:04
yu-chanさん

ようこそです。

チェリーチョコレートフィズ
最後に赤と白のストライプのストローを挿して
それで完成するんですよね。
自分もずっとあこがれ続けて
未だほんもののチェリーチョコレートフィズには
めぐり合っておりおませんです。

片岡義男さんお好きなんですね!

自分も片岡義男さんの文章に魅せられてたまらず
こうやってブログのタイトルまでお借りしている次第です(笑)
片岡さんの文章はモダンアートだと思うのです、
歳を重ねて大人になるほどに
そのさらりとした文章に込められた
人間模様の彩りにため息が出ます。

稚拙な駄文をこうやって綴っておりますけども
よろしければまたお越しいただければ嬉しいです。

コメントありがとうございます。

こころからのお礼を。

b-minor

返信する
Unknown (手帳)
2012-09-21 06:34:33
こんにちは!
今日のお話うんうんとうなずきながら読みました。
b-minorさんの誠実さが伝わってきますわ。
双子座さんてひょうひょうとした遊び人と思われるけど
違~うと常に思ってます。
双子座だったよね?
本気で遊ぶならテキトーしたらそれなりですよね。
もっとおしゃべりしたいけど、朝ごはんのしたくをしなくては~
また遊びにきます。

返信する
お返事 (b-minor)
2012-09-22 10:36:18
手帳さま

こんにちは。

双子座、甘ったれちゃんです(笑)
いくつになっても・・・

誠実といいますか、
やはり欲張りなんですよね、
これはやる!と自分で決めたことを
中途半端にお茶を濁すのって
この自分自身に失礼だと感じるわけですよ。

せっかく生まれてきたんだから
せめてできる範囲でちゃんとしてあげたいな、と。

わたくし本日はいまだiPhoneが手に入らなくて
こころは乱れておりますです。

毎日神様にお願いすることが多くて大変です。

神様が。ね。(笑)

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