ラスト 石田衣良 2006年04月03日 | 石田衣良 ぎりぎりの所でなんとか生きている主人公たち。それぞれのいろんなラストの瞬間を描いた短篇集。 一体どれだけの人が今この瞬間に、人生の選択をしているんだろう。 石田氏は、街を歩いていて目に入った人たちにさまざまな役を付けて、これらの物語を作ったらしい。それぞれのラストを思いうかべながら。
波の上の魔術師 石田衣良 2006年01月18日 | 石田衣良 大学を卒業後、就職もせずパチプロのような生活をダラダラと過ごしていた青年の前に、ある日現れたあやしげな初老の男。「ひとりきり孤独に貧しい者は、まだ金をつくっていない金持ちのことだ」と煽られて、その男の秘書を務めることになった青年は、やがて大きな計画を持ちかけられる…。 石田衣良らしくない物語だ。読んでいると、これが石田衣良の作品だということを忘れてしまう。くしくも、ライブドアが風説の流布で強制捜査を受けた日に、私は風説の流布によって、銀行を落としいれようとたくらむ男たちの物語を読んでいた。物語の中で男は言う「きみも風説の流布が重大な経済犯罪であることは知っているだろう」青年は、結局目的を達成しながらも、思いもかけない事態へと陥っていく。 「生き残るものが正しい」と言ってしまえばそれまでだが、それが正解ではないことも分かっている。「それも人生である」というだけのことだ。
4teen 石田衣良 2005年12月14日 | 石田衣良 石田衣良の直木賞受賞作品。14歳の東京月島に住む少年たちの物語。 中学2年生。この年齢ならではの感性を描いた作品。 最も印象に残ったのは、ダイが、逮捕されてしまったシーン。自分たちには何も出来ないと臆するのではなく、何が出来るかを考え、そして行動する。大人になるとこれがだんだんと出来なくなってくる。