三が日の恒例行事といえば、そう!箱根駅伝ですよね。毎年、各大学のスター選手が、難所を攻略していく様子は、まさにお正月の風物詩。ですが、その華々しい闘いが行われているコースの隣では、もうひとつ、ちょっと変わったイベントが行われているのをご存知でしたか?
そのイベントとは、京急線羽田空港行き列車の行き先変更。箱根駅伝のコースは、鉄道踏切にかかる部分を最小限にとどめるように設定されているのですが、この京急線と、箱根登山線については、コースを横切る線路が存在しており、ランナーの通過に支障しないよう、駅伝開催日の毎年1月2・3日には、ランナーの通過中に踏切を列車が通過しないような特別ダイヤを組んでいます。そして、このうち京急線の踏切は、京急蒲田から羽田空港に向かう「空港線」の蒲田第1踏切。羽田空港への直通ルートにあるこの踏切は、1時間に10本近い列車が通過する、空港アクセスの重要地点です。しかし、だからといって、ランナーの通過を遮るわけにはいきません。そのため、平常ダイヤでの蒲田第1踏切通過時刻がランナーの通過する時間帯に被る列車には、ダイヤや行き先の変更が行われます。往路ではランナーの踏切通過時間がほぼ全員同じなので、多少の時間調整で済みますが、ランナーの踏切通過時間に30~40分以上の開きが出る復路ではそうもいかず、この時間帯に踏切を通過する列車は、すべて行き先変更が行われます。変更後の行き先は、2010年1月3日までは京急川崎、上り線の高架化が完成した2011年1月3日以降は京急蒲田どまりとされています。新年の風物詩を成功に終わらせるべく、鉄道会社も大変な努力をされているわけです。
以下、撮影地は大森海岸です。
ここまでは通常通り。そして、この次から、行き先変更が開始されます。
京成3050型(成田スカイアクセス線経由 快特)
2010年に開通した成田空港アクセスの新路線のためにデビューしました。が、昨年の震災ダイヤでは、従来からある「京成本線」でも高頻度でこの車両が見られたそうです。
京急1000型(SH快特)
制御装置にドイツ製品を採用しており、発車するときに、「ファ~ソラシドレミファソ~」と独特の音が聞けます。が、この制御装置は現在交換部品の不足を理由に国産品へ取り換えられており、上記の「音」が聞けない編成も出てきています。
京急1000型(北総線経由 急行)
この列車のみ、行き先変更の対象から外されます。
京急1000型「銀様」(各停)
1000型には、車体がアルミ製で全体が塗装されているものと、ステンレス製で窓の上下のみ赤+白とされているものがあります。ステンレス製のものには、「音」が流れる制御装置は搭載されていません。
京急2000型(各停)
2000年まで快特を中心に活躍し、その後は各駅停車、朝ラッシュ時間帯の列車、急行を主な活躍の場としています。なお、先頭車に非常ドアが用意されていないので、品川以北の地下区間への乗り入れができません。
京急1000型(回送)
横浜方面から羽田空港へ直通する急行も、行き先変更の対象に。ところが、京急蒲田ではそのまま引き返せないので、一度品川まで回送してから引き返しています。
京成3050型(成田スカイアクセス線経由 快特)
北総7300型(急行)
この列車は、東京のベッドタウンとして高度成長期に開発された千葉ニュータウンからやってきます。北総線は、以前から高額な乗車賃のために利用者に嫌われていましたが、森田健作知事の就任を機に自治体の融資で値下げが実現されました。千葉ニュータウンではマンションやショッピングモールなどの開発も進んでいますので、今後の発展が注目?
京成3700型(快特)
↑の北総7300型の色違い。というより、こちらが本家で、↑は京成から永久リースしている車両です。京成をご利用の方でしたら、一度はご覧になったことがあると思います。
京急1000型(快特)
京急1500型(各停)
各停からSH快特まで幅広く活躍する、ある意味京急の主力。京成向け保安装置が設置されていないので、通常成田スカイアクセス線では運用されません。
京急1000型「銀様」(回送)
京急1500型(各停)
同じ1500型でも、↑↑は鋼鉄製車体の4両編成、こちらはアルミ製車体の6両編成です。↑↑の方が、若干顔が丸っこく、可愛らしい表情に感じられると思います。
なお、6両編成は車両の増結をしないので、増結の際に使用する「電気連結器」が外されています。
ここまでで行き先変更は終わりです。以下、通常運用。
京急600型(エアポート快特)
エアポート快特は、京急蒲田には停車しません。
北総9100型(急行)
約5年前まで、車内に公衆電話がありましたが、実際にはほとんど使われず、ケータイの普及により撤去されました。撤去後のスペースは立席スペースとなっていますが、羽田空港に乗り入れるこの車両では、1人用立席+荷物置き場としてちょうど良いと思います。
京急2100型(快特)
2000型に代わって主役に躍り出た快特のエース。この車両も制御装置にドイツ製品を採用しています。
京急600型「BLUE SKY TRAIN」(エアポート快特)
2005年のイベントで車体を青く塗装し、それ以来この塗装で、1都2県、約140kmにまたがる路線を駆けめぐっています。なお、600型はすべての8両編成に京成向け保安装置が設置されています。
年に1回きりの、一般の方からはあまり注目されないながらも、それなりに華々しく行われるこの「行き先変更」イベント。ですが、このイベントも、今回が最後となるそうです。京急蒲田付近の下り線高架化が2012年中に実現し、蒲田第1踏切が廃止されるためです。毎年の恒例行事が一つ無くなってしまうのは少し残念ですが、より便利で安全な京急、そして駅伝ランナーの皆さんのために、その役割は立派に果たしたものではないかと思います。
最後に、毎年変わるランナー通過のタイミングをありとあらゆる手段で正確に読み、指令との絶妙な連係プレーで混乱を最小限に食い止めてくださった京急社員の皆さん、そして「行き先変更列車」最後の花道に「ネタ編成」を多数走らせて下さった京成・北総の車両運用管理の皆さんに、この場を借りてお礼申し上げます。
そのイベントとは、京急線羽田空港行き列車の行き先変更。箱根駅伝のコースは、鉄道踏切にかかる部分を最小限にとどめるように設定されているのですが、この京急線と、箱根登山線については、コースを横切る線路が存在しており、ランナーの通過に支障しないよう、駅伝開催日の毎年1月2・3日には、ランナーの通過中に踏切を列車が通過しないような特別ダイヤを組んでいます。そして、このうち京急線の踏切は、京急蒲田から羽田空港に向かう「空港線」の蒲田第1踏切。羽田空港への直通ルートにあるこの踏切は、1時間に10本近い列車が通過する、空港アクセスの重要地点です。しかし、だからといって、ランナーの通過を遮るわけにはいきません。そのため、平常ダイヤでの蒲田第1踏切通過時刻がランナーの通過する時間帯に被る列車には、ダイヤや行き先の変更が行われます。往路ではランナーの踏切通過時間がほぼ全員同じなので、多少の時間調整で済みますが、ランナーの踏切通過時間に30~40分以上の開きが出る復路ではそうもいかず、この時間帯に踏切を通過する列車は、すべて行き先変更が行われます。変更後の行き先は、2010年1月3日までは京急川崎、上り線の高架化が完成した2011年1月3日以降は京急蒲田どまりとされています。新年の風物詩を成功に終わらせるべく、鉄道会社も大変な努力をされているわけです。
以下、撮影地は大森海岸です。
ここまでは通常通り。そして、この次から、行き先変更が開始されます。
京成3050型(成田スカイアクセス線経由 快特)
2010年に開通した成田空港アクセスの新路線のためにデビューしました。が、昨年の震災ダイヤでは、従来からある「京成本線」でも高頻度でこの車両が見られたそうです。
京急1000型(SH快特)
制御装置にドイツ製品を採用しており、発車するときに、「ファ~ソラシドレミファソ~」と独特の音が聞けます。が、この制御装置は現在交換部品の不足を理由に国産品へ取り換えられており、上記の「音」が聞けない編成も出てきています。
京急1000型(北総線経由 急行)
この列車のみ、行き先変更の対象から外されます。
京急1000型「銀様」(各停)
1000型には、車体がアルミ製で全体が塗装されているものと、ステンレス製で窓の上下のみ赤+白とされているものがあります。ステンレス製のものには、「音」が流れる制御装置は搭載されていません。
京急2000型(各停)
2000年まで快特を中心に活躍し、その後は各駅停車、朝ラッシュ時間帯の列車、急行を主な活躍の場としています。なお、先頭車に非常ドアが用意されていないので、品川以北の地下区間への乗り入れができません。
京急1000型(回送)
横浜方面から羽田空港へ直通する急行も、行き先変更の対象に。ところが、京急蒲田ではそのまま引き返せないので、一度品川まで回送してから引き返しています。
京成3050型(成田スカイアクセス線経由 快特)
北総7300型(急行)
この列車は、東京のベッドタウンとして高度成長期に開発された千葉ニュータウンからやってきます。北総線は、以前から高額な乗車賃のために利用者に嫌われていましたが、森田健作知事の就任を機に自治体の融資で値下げが実現されました。千葉ニュータウンではマンションやショッピングモールなどの開発も進んでいますので、今後の発展が注目?
京成3700型(快特)
↑の北総7300型の色違い。というより、こちらが本家で、↑は京成から永久リースしている車両です。京成をご利用の方でしたら、一度はご覧になったことがあると思います。
京急1000型(快特)
京急1500型(各停)
各停からSH快特まで幅広く活躍する、ある意味京急の主力。京成向け保安装置が設置されていないので、通常成田スカイアクセス線では運用されません。
京急1000型「銀様」(回送)
京急1500型(各停)
同じ1500型でも、↑↑は鋼鉄製車体の4両編成、こちらはアルミ製車体の6両編成です。↑↑の方が、若干顔が丸っこく、可愛らしい表情に感じられると思います。
なお、6両編成は車両の増結をしないので、増結の際に使用する「電気連結器」が外されています。
ここまでで行き先変更は終わりです。以下、通常運用。
京急600型(エアポート快特)
エアポート快特は、京急蒲田には停車しません。
北総9100型(急行)
約5年前まで、車内に公衆電話がありましたが、実際にはほとんど使われず、ケータイの普及により撤去されました。撤去後のスペースは立席スペースとなっていますが、羽田空港に乗り入れるこの車両では、1人用立席+荷物置き場としてちょうど良いと思います。
京急2100型(快特)
2000型に代わって主役に躍り出た快特のエース。この車両も制御装置にドイツ製品を採用しています。
京急600型「BLUE SKY TRAIN」(エアポート快特)
2005年のイベントで車体を青く塗装し、それ以来この塗装で、1都2県、約140kmにまたがる路線を駆けめぐっています。なお、600型はすべての8両編成に京成向け保安装置が設置されています。
年に1回きりの、一般の方からはあまり注目されないながらも、それなりに華々しく行われるこの「行き先変更」イベント。ですが、このイベントも、今回が最後となるそうです。京急蒲田付近の下り線高架化が2012年中に実現し、蒲田第1踏切が廃止されるためです。毎年の恒例行事が一つ無くなってしまうのは少し残念ですが、より便利で安全な京急、そして駅伝ランナーの皆さんのために、その役割は立派に果たしたものではないかと思います。
最後に、毎年変わるランナー通過のタイミングをありとあらゆる手段で正確に読み、指令との絶妙な連係プレーで混乱を最小限に食い止めてくださった京急社員の皆さん、そして「行き先変更列車」最後の花道に「ネタ編成」を多数走らせて下さった京成・北総の車両運用管理の皆さんに、この場を借りてお礼申し上げます。