新潮文庫
2008年 2月 発行
2017年 2月 20刷
解説・北上次郎
320頁
女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人
ヒッチハイクで乗せてもらったトラック運転手に金を出せと脅したところ、宮﨑の山深い村で暗闇に放り出されてしまいます
夜が明けてから一人トボトボ歩いていると横倒しになったスクーターに遭遇
スクーターに乗って逃げようとしたら怪我をした老婆・スマに「ぼう、ぼう」と呼ばれ、何の因果か、彼女を後ろに乗せ自宅まで連れ帰り医者を呼び、病院に付き添うことに…
金目のものを見つけたらサッサと逃げ出すつもりが、翔人をスマの孫と思い込んだ村の人々の勘違いやら何やらで老婆の家で数日を過ごすことになります
スマも何も言わず翔人の世話をしてくれます
老婆の家で食べる献立の数々、沸かしたての熱い風呂、温かい布団、村人との交流
普通に暮らす人にはごく当たり前の日常が、ささくれ立っていた翔人の心を少しずつ少しずつ柔らかく解していってくれるのでした
自分はしゃぼん玉のようにフワフワ浮いているだけ、どこにも着地出来ず弾けて消えるだけだと思っていた翔人にも帰る場所が見つかったのです
解説にはラストで目頭がじんと熱くなるとありますが、ラスト1頁前にグッときました
今も読み直してウルウルきています
爽やかな読後感に包まれた作品でした
2017年春に映画が公開されていたようです
探して観てみましょう
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