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橋本紡「九つの、物語」

2008年10月15日 | は行の作家
両親が長期海外旅行に出かけており
古い家に一人で暮らす大学生・ゆきな
ある日、ゆきながお兄ちゃんの部屋で本を読んでいると
いないはずのお兄ちゃんが現れる

お兄ちゃんは2年前に死んだはず…

九つの物語
泉鏡花「縷紅新草」
太宰治「待つ」
田山花袋「蒲団」
永井荷風「あぢさゐ」
内田百(けん)「ノラや」
井伏鱒二「山椒魚・改変前」
井伏鱒二「山椒魚・改変後」
樋口一葉「わかれ道」
サリンジャー「コネティカットのひょこひょこおじさん」

各章毎、ゆきながこれらの本を読んで主人公の気持ちと自分の気持ちを重ね合わせたり、何かヒントを得たりしてお話が進んでいきます


お兄ちゃんは幽霊なんだけど
ゆきなの為に料理を作ってくれる
手は温かい(体温がある)
お兄ちゃんが座ってたソファーには窪みがある

全然怖くないんですね
怖いどころかとっても温かい

お兄ちゃんの3回忌を済ませて数日
母親からの手紙で、ゆきなの忘れていた記憶が甦る
お兄ちゃんと恋人の香月君、お兄ちゃんの恋人(なんと公園で自殺した自縛霊)との優しい時間が、忘れていた記憶によって崩壊していく…


ゆきなと香月君
些細なことで気持ちが擦れ違ってしまう
一緒に映画を観に行って、いっぱいお喋りするのだけど、中身は空っぽ
駅で「じゃぁ」って別れる

この辺りから後半
涙が止まりませんでした
ゆきなの心が痛いくらい伝わってきて
こんだけ泣けたのは
西加奈子さんの「さくら」以来のこと


「さくら」と同じように
「九つの、物語」も大切な人と、自分自身を取り戻して終わります

読んで良かった

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