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白石一文「草にすわる」

2008年10月14日 | さ行の作家
「草にすわる」
2003年執筆
この年に会社を辞め独立
白石さんが、初めて、食べるために書いた小説だそうです

走り続け、立ち止まり
草にすわる
そして、もう一度立ち上がる

人は如何に生きるべきか
というテーマは同じですが
ややおとなしい印象の作品です

「砂の城」
60歳を過ぎた作家の物語
自分の人生を顧みるに、なんと生きにくい人生であったか
これは暗い

この人生で良かったはずもなく、さりとて悪かったと己を裁くだけの度量も無い
ただこのように自分は生き、生きてしまったという以外に何ひとつ加える言葉が無い
それでもなお、これからわずかばかりの時間を生きていくためには、これほどの慙愧の念を恩寵の名残と万謝して、彼は生き直していくしかないのだ

「花束」
かなり明るい色調で、経済小説の趣もあり
瀧口明という筆名で出版された「第二の世界」という本におさめられていたものを
文庫化にあたり本書に加えた、とのこと



白石さん自身があとがきに書いていらっしゃいます
よく私の小説は、エリートばかりを主人公にして、しかも男性中心主義的で鼻持ちならないと批評される
しかし、それは私から言わせれば実に表層的な考え方でしかない
私が自作で常に言わんとしてきたのは、結局、この社会でのいかなる成功も夢の実現も、それだけでは個としての自身の精神的な成長にまったく結びつかないということだ


あとがきを読めば白石さんをより深く理解出来ます


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