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藤沢周平「凶刃 用心棒日月抄」

2013年04月03日 | は行の作家

 

新潮文庫

1996年9月 発行

2006年6月 30刷改版

2012年11月 51刷

解説・川本三郎

433頁

 

 

用心棒日月抄シリーズもいよいいよ最後の1冊となってしまいました

読みたいけれど読み終わるのが惜しい

久しぶりにそういう作品に出会いました

 

 

若かりし用心棒稼業の日々から早や16年

青江又八郎も40代半ばになり妻・由亀との間には3人の子もいる

国元で平穏な日々を送っている又八郎にまたもや江戸出府の命が下る

江戸屋敷の嗅足組のリーダー佐知や用心棒仲間だった細谷との再会

 

藩の制約の中で働く又八郎は、ふと用心棒稼業で糊口を漱いでいた昔を思い返します

危険を紙一重でやり過ごすような日々だったが、一剣を恃んで恐れを知らなかったものだ。

そんな日々にもずいぶんおもしろいことはあった。

なによりも身も心も自由だった。

あのころにくらべれば、いまのおれは心身ともに小さくかがんで生きているとは言えぬか。

細谷がこの齢になって、なおも用心棒というしがない仕事にしがみついているのを憐れみ笑うべきではない。

 

若かりし日を回想する中年男性のセンチな思いがジンワリと心に沁みます

 

公儀隠密お庭番も絡んだ政争にも片が付き、国元に帰る日

佐知ともいよいよ今生の別れかと悲しみに胸がしめつけられる又八郎

ところが、佐知は仏門に入り国元の尼寺の庵主をつとめる予定だと言う

それを聞いて、年老いて尼寺に茶を飲みに通う自分の姿を想像し哄笑する又八郎でした

 

国元に二人の女性ということになるのですが、いいのかなぁ、又八郎さん

 

 

幕府や藩の目論見がぶつかり合う中、年を取ったとはいえ激しい斬り合いもあり、読み応えの充分の長編でした

 

 

 


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2 コメント

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時の流れと老いの無残さ (narkejp)
2013-04-04 20:09:56
「用心棒」四部作の中で、時の流れと老いの無残さを感じさせ、いちばん苦い味の作品ですね。それだけに、娯楽小説とばかりは言えない格調高さを感じる面があります。作者が存命だったら、第五作がありえたかを考えると、興味深いですね。又八郎の哄笑は、詮索好きな読者に対する、作者の苦笑でもあったかもしれません。
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narkeipさん (こに)
2013-04-06 10:35:10
娯楽小説、時代小説で片付けて欲しくないですよね。
様々な目論見がせめぎ合うスリリングな展開に力が入りました。
青江又八郎はその後、穏やかな日々を過ごしたのでしょうね~。
佐知と由亀も仲良しになったとか…?
それこそ、止めておいた方が良い詮索ですかネ。
(^_^;)
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