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アンドリュー・カウフマン「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」【再読】

2024年09月11日 | 海外の作家


訳・田内志文
東京創元社
2013年9月 初版
133頁

初読は2015年
谷原章介さん主演の舞台を鑑賞するにあたり再読しました

ある日、カナダの銀行に紫色の帽子を被った強盗がやってきます
彼はその場にいた13人から、もっとも思い入れのあるものを奪い、去り際にこんな台詞を残します
『私は、あなたがたの魂の51%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしなできごとが起こることになるでしょう。ですが、何より重要なのはその51%をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは命を落とすことにおなりだ。』
その言葉通り、13人の被害者たちに奇妙なことが起こり始めます
身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり、タトゥーのライオンに追いかけられたり
母親が98人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も
なぜこんなことが起きるのか
不思議な比喩の世界の始まり始まり

身長が縮む妻を目の当たりに、それまで妻の日常に興味を持っていなかったのが、初めて妻を細かく観察するようになった夫など
被害者たちは皆、人と適度な距離を置き付き合うことを当たり前にしており、そのうちに人との距離がどんどん離れ、ついには自分自身をも見失ってしまった大人です
彼らは、それぞれの身に起きたとんでもないことに翻弄されながらも、やがて自分自身やパートナーに向き合い、人との繋がりを取り戻していきます

大きな謎を残しつつ、最後は温かい気持ちになれる作品
銀行強盗の『自身で回復させねばならぬ』がキーワードです



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