英語題 UNCLE BOOMMEE WHO CAN RECALL HIS PAST LIVES
2010年 イギリス・タイ・ドイツ・フランス・スペイン合作
2010年カンヌ映画祭パルムドール賞受賞
タイ東北部
ラオス国境にほど近い農村
腎臓の病に冒されているブンミおじさんは亡き妻の妹ジェンを呼び寄せ自分の農園を継いで欲しいと頼む
そこに現れたのは19年前に亡くなった妻
さらに、妻の死の6年後、山に入ったきり行方不明になった息子も姿を変えて現れる
初めは少し驚くブンミおじさん、ジェン、使用人も、すぐ二人を受け入れ普通に会話を始めます
森、果樹園、田畑
ひとつとして同じ色ではない緑に囲まれた豊かな自然とそこに溶け込んだ人間の生活
淡々と進む物語
理解しようとしてはいけない、ファンタジーとして感じ取っていけばよいのだ
と映画の序盤で気が付きました
いよいよ死期を悟ったブンミおじさんは愛する家族と共に森の奥深くへ入っていきます
自分の前世を感じ、死の直前には未来を見たと話すブンミおじさん
人間と動物、植物が現世と前世でつながっていて現世においてもそれらは境界を持たず共存している
東アジアに生きる私たちには比較的受け入れ易い設定ではないでしょうか
不思議な挿話があります
顔に痣のある女王が水に映った昔の美しかった自分に戻ろうと入水しナマズに姿を変える
ここは「日本霊異記」の中の何編を思い浮かべました
農園で働いているのがラオスからの出稼ぎ労働者だったり
ブンミおじさんの見た未来では独裁者が登場します
政治的なものは控えめに
与えられた生を生きること
静かに死を受入れること
が穏やかに伝わってくる映画でした
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます