講談社文芸文庫1988年2月 第1刷発行2009年9月 第23刷発行解説・宇佐美斉355頁
以前から読みたいと思っていたのですがタイトルから受ける印象とは違い決して読み易い内容ではないことがわかっていたので、なかなか手が出ませんでした今年のユーミンのコンサートで聴いた「大連慕情」こんなに素敵な曲だったのね♪感動でしたその感動に背中を押された形でやっと読み終えることが出来ました
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講談社文芸文庫2005年11月 第1刷発行2005年12月 第2刷発行解説・坪内祐三300頁
中学生か高校生だったかの頃「合言葉はオヨヨ」「唐獅子株式会社」などを読みました純文学作品は初めてです
「丘の一族」なぜだか自分には「肌の白い親戚」がいたドイツ人の血をひく親戚一家の様子を客観的に眺める主人公
「家の旗」代々続いた和菓子屋の跡取りであるはずの自分雑文を書 . . . 本文を読む
講談社文庫2004年8月 第1刷発行2005年1月 第5刷発行解説・土方正志551頁
1/5ほど読んでも、熊谷さんらしい話の本流が見えてこないので我慢出来ずに先に解説を読みましたらナント!伝奇ホラー小説なのだそうです
夜、一人で読んでいると怖くてたまらなくなる部分もありました熊谷さんの描写力の成せる業でしょう
旧盆の十三夜、出羽三山の霊峰月山の麓の村を舞台にしたホラーです物部 . . . 本文を読む
講談社学術文庫1999年4月 第1刷発行解説・平川祐弘317頁
松江から熊本へ日本での生活体験が広がるにつれ深まる日本の文化と精神への理解と哲学的思索
熊本時代の教え子が英語で書いた子供時代の回想分文の紹介八雲の優しく大らかな人柄がうかがえます
日本の昔話についての考察信仰、アミニズムなど日本人より日本を理解した人でした
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集英社文庫2007年12月 第1刷解説・佐藤賢一380頁
大和の軍勢に敢然と立ち向かった蝦夷の英雄アテルイの父親、呰麻呂(アザマロ)の活躍を描く歴史小説アテルイが主人公の「まほろばの疾風」の前日譚と想像していましたが、かなり違うものでした
貞観地震の約100年前8世紀後半の陸奥国大和の東北支配拡大の拠点であった多賀城、アザマロが支配する伊治城、蝦夷同士で攻防が続く胆沢城
大和 . . . 本文を読む
集英社文庫2003年7月 第1刷2007年3月 第7刷解説・細谷正充532頁
8世紀末東北で、大自然と共生し自由に暮らす誇り高き人々、蝦夷彼らを服従させるため侵攻してくる大和朝廷東北蝦夷連合の長・アテルイの人生を軸に描かれた壮大な歴史小説です
当時の詳しい史実は詳しくわかっていない為、ほとんどが作者によって脚色された内容らしいのですがまるで「大河ドラマ」のように楽しく読ませても . . . 本文を読む
集英社文庫2002年11月 第1刷2009年6月 第15刷解説・吉野仁398頁
東北の大自然を舞台に幻のニホンオカミをめぐる人間模様を描いた動物冒険サスペンス
動物学者・城島の妻がオオカミと思われる野生動物に襲われて亡くなる愛する妻の復讐を誓い山の中を歩きまわる「一匹狼」的な城島を中心に女性TVディレクター、地元の刑事などが織り成すミステリアスな人間ドラマが展開します
大自然 . . . 本文を読む
集英社文庫2000年8月 第1刷2004年7月 第3刷解説・阿刀田高200頁
1997年小説すばる新人賞受賞作品
2004年山本周五郎賞、直木賞受賞の「邂逅の森」以降の作品を先に読んでいるので本作も安心して読めましたしかし、最初に本作を読んでいれば、その後の熊谷さんの発表作がどんなに待ち遠しく楽しめたか、と残念でもあります
解説の阿刀田さんも書かれていますが書き出しが素晴らしく、ハートを鷲掴 . . . 本文を読む
寺島しのぶさん主演の映画を思い出される方のほうが多いかもしれません 32歳でサラリーマン生活を辞め、友人との交流も断ち、町から町へ流れ歩き、尼ヶ崎にやってきた男 男の仕事は、雇い主にあてがわれたアパートで、ひたすら牛や豚の臓物を串に刺すこと 同じアパートに暮らす社会の底辺に生きる人間たち 主人公の男が、いくら身を落としたといっても、所詮はただの観察者に過ぎないことを尼ヶ崎のアパートで暮らす人 . . . 本文を読む
肩を壊して野球を諦めた沢木
高校を卒業した三日後
特別な一日を描いた川上さんの自伝的小説ともいえる純愛グラフィティ
舞台は青森・十和田
2006年公開の映画「アオグラ」の原作
将来どうするんだよ
宙ぶらりんなぼくが、未来を見つめ始めた特別な一日
原作を読む限り映画も面白そう
しかし
主演:内田朝陽さん
どうなのかな…
このタイトルを見て
S&Gを思い出した方も多いはず
スカボロフェ . . . 本文を読む
「邂逅の森」に連なるマタギ三部作第一作こちらの方が時代が下るのになと思いつつ読み進んで「納得」自然と人間の共生上っ面だけで声高に環境保護・動物愛護を叫ぶ人間の多いこと今は難しい時代なんですねこの小説に登場するマタギ・フリーライター・カメラマン・出版社社長・NPO法人理事それぞれが自分の私利私欲を追及するのでなく、熊、自然、人間の生活について真剣に考え、ぶつかりあう347頁で宮沢賢治「なめとこ山の熊 . . . 本文を読む
帯に戦争青春小説の白眉とあります熊谷さんを評するとき「白眉」という表現がよく使われますがありきたり過ぎて物足りないように感じます特攻隊員敵に向かって自爆攻撃する神風や回天ではなく海底に潜んで上を通る敵艦隊を攻撃する伏龍の隊員に選ばれた浅沼17歳彼が過ごす終戦間近の訓練所での日々を描いています実際の戦闘場面はなく人の死といえば訓練中に事故死した仲間浅沼が誰かと戦争や死について熱く語るわけでもなく淡々 . . . 本文を読む
木山捷平ユーモア小説選
私小説風の短編が11編
お茶目な大人の日常にさりげなくユーモアを混ぜ込んである
このユーモアを解することが出来るのはやはり「大人」ではないでしょうか
大きなテーマや主張は無い
軽快で、ゆるい
だからこそ小説としての息が長い
表題作
『鳴るは風鈴』
ひょんなことから見つかった古い風鈴
遠い昔のことを思い出す
安普請のアパートに住んでいた頃
突然、箪笥のカンがカタカ . . . 本文を読む
人生の時間を彩る23編
タイムトリップものかと思って読み始めました
綺譚物が続き
それから
宮部みゆき氏の名前も登場する落語調ミステリー
(お二人は仲良しだそうで)
その後は
母・祖母を思い自らと子を思う
人と人を繋ぐ思いを辿ったお話が続く
一番印象に残ったのは
表題作
「1950年のバックトス」
なんと、うちのおばあちゃんは
戦後、女子プロ野球チームに所属していた!
30歳過ぎの . . . 本文を読む
短編が9編
昭和20年代の東北地方で自然に向き合って暮らしているマタギ、漁師、潜水夫たちなどの物語
「潜りさま」
跡継ぎに、と考えていた息子を潜水病で失ってから潜水夫をやめていた男が洞爺丸沈没に遭遇したことからもう一度潜水夫として生きていこうとする
「旅マタギ」
雪崩にあったマタギの頭領が自分の来し方、家族に思いを馳せながら、なんとか雪の中から這い出そうとする
「メリィ」
子供の頃飼っ . . . 本文を読む