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政府は、産業競争力会議で新しい成長戦略の素案を取りまとめ公表へ

2014年06月21日 08時00分00秒 | 都市の時代と、東京


停滞著しい日本経済を再成長させるべく、政府は産業競争力会議で新しい成長戦略の素案をまとめて公表しました。この新しい成長戦略素案は、現在の安倍政権の経済戦略「アベノミクス」の「第3の矢」と呼ばれているものです。1990年代の冷戦終結や経済のグローバル化によって、日本始め世界の産業構造は大きく変化してきています。その産業構造の転換に乗り遅れたことが、日本が衰退した理由の一つに挙げられていて、様々な制度改革や構造改革の必要性が叫ばれています。

21世紀の日本経済の成長に必要なもの、キーワードは「都市間競争」です。東京と名古屋、大阪を筆頭とする大都市が国家の成長を担う時代であり、田中角栄時代のような「国土の均衡ある発展」政策は意味をなさなくなってきています。その意味では、今後の東京の役割は現在以上に重要になってきています。

前民主党政権の成長戦略であった「コンクリートから人へ」のスローガンに代表されるように、1990年代以前の常識を捨てるくらいの方針転換の必要性に迫られているのです。

首相「持続的成長へ政策やり抜く」 成長戦略素案
2014/6/17 1:30 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS16027_W4A610C1EA2000/

政府は16日、首相官邸で開いた産業競争力会議で新しい成長戦略の素案をまとめた。四大改革として法人減税のほか、「岩盤」と呼ばれる雇用や農業、医療分野の規制改革を柱としている。安倍晋三首相は「日本は今、大転換期にある。持続的な成長軌道につなげるため、この政策案の実行を決断し、やり抜かなければならない」と強調した。

新成長戦略は昨年の成長戦略「日本再興戦略」を改定する形をとり、産業競争力会議のほか、経済財政諮問会議、規制改革会議、国家戦略特区諮問会議で議論してきた政策を網羅している。素案をもとに与党と調整し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)とともに27日の閣議決定をめざす。

岩盤規制のうち、雇用分野では時間でなく成果に給与を払う新たな制度を導入し、少なくとも年収1000万円以上を対象に適用する。農業では今後5年を農業協同組合の集中改革期間とし見直しを急ぐ。公的な医療保険が使える診療と使えない診療を組み合わせる混合診療も拡大する。

■人口減に備え
少子高齢化による労働力不足を見据え、女性や外国人の積極活用も打ち出した。主婦が学童保育で育児経験を生かせる新たな保育資格「子育て支援員」(仮称)を2015年度に創設。女性の働く意欲をそいでいるとされる配偶者控除のあり方も年末までに見直す。

外国人労働者の受け入れでは、途上国の人材が働きながら技能を学ぶ外国人技能実習制度の対象業種を介護などに広げ、受け入れ期間を3年から5年に延ばす。東京五輪に向けた建設需要で人手不足が深刻な建設業や造船業では受け入れ期間を5~6年に延長する。

海外からの投資を促す環境づくりとして現在35.64%(東京都の場合)の法人実効税率を15年度から数年間で20%台に下げることをめざす。地域を限って規制緩和を先行させる国家戦略特区では、起業に必要な官民の手続きを一元化する窓口を年内に設置する。

■年金運用を改革
市場の関心が高い年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用も改革する。9~10月をメドに資産構成で日本株を増やすほか、ガバナンスを強化する法改正を検討する。運用の委託先や運用方針を決める権限が理事長に集中しているため、理事会を設けて複数の専門家がチェックする方向だ。運用に詳しい人材を民間から集めるため給与水準も改定する。

「この1年間の努力の結果、これまで挑戦することすらタブー視されていた壁、何度も挑戦したが乗り越えられなかった壁を突き抜けるような政策を盛り込むことができた」。首相が素案についてこう語ったように、昨年の成長戦略で手がつけられなかった四大改革は一歩進んだ。今後の課題は具体的な制度設計だ。

日本総合研究所の湯元健治副理事長は「外国人活用は長らく課題だった分野で大きく評価できる」としたうえで「抜本的な受け入れではない。もっと積極的に活用を議論すべきだ」と求めた。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「社会保障制度改革の視点が抜け落ちている」と指摘。「長期金利が上がれば財政健全化は難しくなる。デフレ脱却前に社会保障制度改革を進めることが必要だ」と訴えた。


記事を読んでみると、4大改革である法人税減税、そして雇用や農業、医療分野の規制改革が成長戦略素案の中に大きく掲げられています。女性の社会進出は日本社会の中に受け入れられつつあるようになってきているので、それはスムーズに進むからいいとして、移民受け入れについては今後も激論が繰り広げられそうです。どの項目を読んでみても、大都市の成長に有利な政策ばかりであると言えますね。

成長戦略とは一体何なのか
2012年12月の民主党から自民党への政権交代が起こり、第2次安倍政権が発足しました。安倍政権が経済政策として呼称されている「アベノミクス」の中の第3の矢として成長戦略が盛り込まれています。

1.大胆な金融政策
バブル崩壊以降の20年間における不況の最大要因をデフレと捉え、デフレ脱却を目指すべくインフレターゲットの導入を決定。そのために、これまで独立性が重視されてきた日銀に対して、日銀法の改正も視野に入れた上で2%の物価目標を掲げるよう働きかけ、その目標が達成されるまでは無制限の量的緩和策をとることを決定した。

2.機動的な財政政策
政府は2013年1月15日、過去2番目の規模となる13兆1千億円の補正予算案を閣議決定した。内訳は、東日本大震災の復興費を含む”復興・防災対策”に3兆8千億円、通学路の安全対策など”暮らしの安全・地域活性化”に3兆1千億円、さらに再生医療の実用化支援など”成長による富の創出”に3兆1千億円となっている。

3.民間投資を喚起する成長戦略
産業競争力会議において7つのテーマ別会合を開き、2013年6月をめどに具体案をまとめるとした。7つのテーマは以下の通り。
(1.産業の新陳代謝の促進 2.人材力強化・雇用制度改革 3.立地競争力の強化 4.クリーン・経済的なエネルギー需給実現 5.健康長寿社会の実現 6.農業輸出拡大・競争力強化 7.科学技術イノベーション・ITの強化)

3つの矢の内の上位2つの経済政策は比較的成功していると世の中では評価されていますが、日本経済の再成長は「第3の矢」である「民間投資を喚起する成長戦略」が一番の曲者であり、既得権との権力闘争が必要になってきます。

政府が、民間投資を喚起することが出来るものなのか
単刀直入に言うと、政府が今後の日本の成長産業を決めて、民間企業に投資を促して成長させることはできません。日本は資本主義社会の経済体制であり、そもそも資本主義社会では、市場にとって必要な産業は何もしなくても勝手に成長していくものであり、政府がわざわざ「成長戦略」として先導する必要は全くないのです。

政府に期待される役割とは、民間企業が業績を伸ばしやすいように規制を緩和すること、そして民間企業の潜在成長力を上げるようにバックアップすることです。日本の農業や医療産業には行政による様々な規制が存在していて、それらの規制が農業や医療産業の成長を妨げている側面があります。規制緩和によってそれらの産業が更に成長しやすくすることも、立派な成長戦略の一つです(というより、政府に出来ることはそれくらいしかありません)。

また、民間企業が成長しやすくするためには、これまで以上に「大都市集積」をしやすくするように誘導することも重要です。大都市に企業を集積させやすくすることによって、さらに「規模の経済」の効果を増大させやすくするべきなのです。規制緩和によりビジネスがしやすい環境を「特区」として大都市内に設定し、世界中から企業を誘致しやすくするやり方です。

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