民主党が新体制になって支持率が再び上昇していることに焦っているのだろう。出るわ、出るわ。自民党から「政治改革案」が。
国会議員のボーナス削減に続き、「民主党に後れをとっては」と世襲制限を言い出したかと思えば、国会議員定数の削減、さらには2院制の見直し検討まで。
近づく衆院選。この不況の中、国会議員自らが身を削る姿を示さねばという趣旨は分かる。でも、国民の代表としてふさわしい仕事をしてくれてさえいれば、国民もそんなに文句は言わない。むしろ、選挙前に「あれも、これも」と突然言い出すのは、自分たちはちゃんと仕事をしていないという自信のなさの表れのように私には映る。
しかも、定数削減や2院制見直しは実現の可能性がまったく不明。世襲の制限も「仮に小泉純一郎元首相の次男が公認されず無所属で出馬しても、当選すれば追加公認するのでは」と早くも抜け道を指摘される始末だ。
以前にも書いたが、政治家や政党は国民の支持や理解を得る努力をすべきだという意味で、「選挙目当て」が悪いというわけではない。ところが議員本人たちは選挙目当てと思っても票につながらない場合が往々にしてある。最近はこの民意とのギャップが一段と広がっていると思う。
約14兆円の09年度補正予算案が間もなく成立するという。「国立メディア芸術総合センター」(アニメの殿堂?)の建設は本当に緊急性があるのか。46の基金に約4・3兆円を交付するというが、事業のニーズはあるのか。
まだ遅くない。補正予算案を修正し、少しでも無駄を削った方が与党にとってもよっぽど選挙目当てになる。(論説室)
毎日新聞 2009年5月28日 東京朝刊
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