わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

新リーダーの質を問う=広岩近広

2008-12-01 | Weblog

 いよいよ米国の新大統領が決まる。遠からず次代を担う日米新リーダーの顔がそろう。いずれも多難な船出は必至で、21世紀型の手腕が求められる。

 これまでの米国は戦争と国益を結びつけてきたといえよう。そして日本政府は国際貢献と国益をしきりと口にして、米国に追随してきた。軍事力を背にして、あるいはその傘に入って、国益を求める手法は、もはや通用しない、ピリオドを打つべきである。

 広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長にインタビューした折、こう語った。「現在の世界のリーダーたちはアメリカを筆頭に戦争文化に浸っている人たちがほとんどです。それでも地球温暖化問題など、お互いの協力がないと解決できない人類の課題が迫ってきているので、リーダーの質が変わってくると信じています」

 日米の新リーダーは、国益を包括した「地球益」を重視すべきで、そこに質が求められる。日米両国で平和運動に携わってきた米国籍のリーパーさんは「戦争文化から平和文化への構築」を説いた。「勝ち負けの競争原理ではなく、みんなが幸せになれるように協力原理を働かせることです」

 平和文化の第一歩は、やはり核軍縮でありたい。さしずめNPT(核拡散防止条約)体制の危機を招いた米印原子力協定を猛省し、インドに加盟を強く要請していくべきだ。そのうえで北朝鮮、パキスタン、イスラエルにも加盟を迫り、核軍縮の協力原理を働かせるのである。日本は、国連総会で毎年のように提出される「核兵器使用禁止決議」にいつまでも棄権してはなるまい。(編集局)




毎日新聞 2008年11月2日 東京朝刊


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