「強制的に付けさせられるなんて情けなく、恥ずかしくてならない!」(74歳女性)
「マークの何が悪い。運転は格好でするんじゃない。事故防止が先です」(83歳男性)
道路交通法改正で75歳以上のもみじマーク(高齢運転者標識)表示が義務化されることを書いた際、高齢の読者からいただいた声だ。「こんなマークを付けると周りの車に嫌がらせされる」と不安がる人がいる一方で「付けてから道を譲ってもらうことが増えた」と喜ぶ手紙もあり、さまざまな思いがあるものだと教えられた。
本格実施まで半年となったいま、警察庁は方針を再検討している。「統計上、事故防止効果はある。でも表示率が上がらない」というのが義務化に踏み切った理由だったが、与野党内で「高齢者いじめ」との批判が出たためらしい。今年は後期高齢者医療制度に対する風当たりが強かっただけに、総選挙の年を前にした高齢有権者への気遣いが垣間見える。
一度は義務化が決まった効果で、3割程度だった表示率は7割まで上がったが、見直しの内容次第では、また下がるのだろう。高齢ドライバー事故は高齢化の速度を上回る勢いで増えている。少しでも安全につながる施策を進めてほしいという交通事故遺族らの願いも切実だ。
そもそもお年寄りは高齢者扱いされるのが嫌なのだろうか。優先席を譲られて怒る人は見ない。もみじマークは落ち葉にしか見えず、高齢者に優しいとのメッセージにはほど遠い。
いっそマーク自体を見直せばいい。81歳男性からの手紙にはこうある。「ハート形にしてはどうでしょう」
毎日新聞 2008年12月24日 0時09分
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