公的資金で救済されるのは、大手の銀行や自動車メーカーばかりではない。
イタリア政府は、パルメザンチーズの救済に乗り出した。生産コストの上昇で業者の3分の1が廃業寸前に追い詰められたため、「チーズの王様を守れ」と、公的資金5000万ユーロ(約64億円)を投入するそうだ。
アメリカでは、自動車に続き、大手の不動産開発業者が政府に救済の要求を始めている。
米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、米政府は証券化商品で問題を抱えたサンタクロースを新たに公的資金の対象とした。財務省内にはサンタ国有化への懸念もあったようだが、サンタの破綻(はたん)は影響が大きすぎると救済が決まった。オバマ次期大統領も了承している。
これはジャーナル紙の作り話。でも世の中、何でもかんでも救済のムードになってきた。
少し前まで、大手金融機関は特別、という話ではなかった? 腹が立っても税金で救わないと、信用不安が広がって、金融破綻の連鎖が起き、一般の人までみんなが大迷惑するから--という説明だった気がする。それが、自動車業界も救済となり、「大きすぎてつぶせない」の線引きがほとんど不可能になった。自動車は救済OKでチョコレート業界はダメ、とか論理的に説明するのは相当苦しい。
アメリカでは、教会も倒産の危機にある。不動産ブームの中で施設を建てた教会がローンの返済に困り、差し押さえられる事例が増えているそうだ。来年あたり「米政府、神様に800億ドルの資本注入」もありうる。大きすぎてつぶせない。
だけど救済先の経営をしっかり見張れる人ってどこにいる?(経済部)
毎日新聞 2008年12月26日 東京朝刊
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