わが輩も猫である

「うらはら」は心にあるもの、「まぼろし」はことばがつくるもの。

ドランク・ミニスター=福本容子

2009-02-26 | Weblog




 今思えば漢字騒ぎはまだマシだった。かなり上手に翻訳できても外国語では、首相が踏襲を「ふしゅう」と読む情けなさがぴったり伝わらない。

 今度は全然違う。インターネットの動画サイトに乗り、たちまち地球を何周もした。会見の発言を訳す必要もないところが悲しい。「ドランク・ミニスター(酔っ払い大臣)」のタイトル付きで、そのまんま流れている。

 「麻生・中川コンビ級の芸才を期待できる政治家は世界にいない。戦争を起こすわけでもなし。延々と軽い芸で楽しませてくれる。あのレベルの政治家がもっと必要だ」

 「天使はゾンビを救えるか」と題した英タイムズ紙電子版のブログ記事にそんなコメントが書き込まれていた。「ゾンビ」とは麻生太郎首相と自民党のこと。皮肉と嘲笑(ちょうしょう)が飛び交う。

 で、ふと思う。日本が話題になったのは実に久しぶりではないか。「ユーチューブ」(動画サイト)でこんなに有名になった日本の政治家はいない。外国の笑いものになるのは不愉快だけど、恥をさらした以上、注目をチャンスに変えない手はない。

 今、選挙をやって政権が交代したりすれば、普段なら「また変わったの」で終わるのが「お、今度はどんな人だ」となる。うまくいけば、ようやく「変化」を国内外で印象付けられる。

 うまくいく保証はない。とはいっても、ここで変えようと動かないなら野党はいらないし、動かす力を信じなければ世論もマスコミも存在意義がない。

 「酔っ払い大臣」を任命したうえ失態後もすぐクビにしない人たちが政権に居座り続ける。ローマのレロレロよりこっちがずっと恥ずかしいと思う。(経済部)

 

毎日新聞 2009年2月20日 東京朝刊


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