山走人 やまをはしるひと

YOGA&トレイルランニング&仏教
逆境を味方に!

「川の道フットレース」を走って

2011-05-05 19:24:19 | レース
第7回 川の道フットレース 荒川~千曲川ステージ265キロ

残念な結末を迎えてしまった「川の道」ですが、
少し振り返ってみたいと思います。
自分のこころと身体は果たして200キロを超えられるのか、
ここから今回のレースはスタートしました。



当日の朝、午前8時にスタート地点の葛西臨海公園に着いてみると、
すでに多くのランナーが集まっていました。



アップで走る人はなく、荷物の整理に忙しい人が多いようです。



舘山代表に、三国峠以降の気象条件を聞いてみると、
氷点下になることがあります。 とのお答え。
そして、骨折などの怪我さえなければ、必ず完走できます。
まずは、こまどり荘まで、たどり着いてください。
と温かい励ましの言葉をいただきました。



最初に全員で記念撮影、レースの雰囲気ではありませんね、
団体旅行という感じかな?



舘山代表のホイッスルでスタートです。



スタートすると公園内を海の見えるところまで移動します。
舘山代表が、「太平洋をよく目に焼き付けておいてください」とひと言。
確かに、520キロを走って日本海を見たら感動するだろうな~と思いました。
(自分は小諸で終わりですが・・・)



ここでも記念撮影、ここから本格的にレース開始になります。



いきなり選手がばらけ、速い人はどんどん走って行きます。
自分は、真中より少し前でペースを作って進みます。
お天気がよくて暑いくらい、それにしてもグレゴリーが重いな~、
水・食料・着替え・ライト、ちょっと多かったかな?



途中、東京スカイツリーが見えました。高尾山より高いんですよね。

いくつかの橋をすぎて、だんだんお腹が空いてきました。
最初のエイドまでは35キロ、背中にパンやおにぎりはあるものの、
それは秩父を過ぎてから、なんとかエイドにたどり着かないと・・・。

危なくなったので、ザバスのパワーアミノ2500を1本飲みました。
途中、新荒川大橋のところで、
飲み物の私設エイドを出している人がいました。
思わずコーラをいただきました。





第1CP(チェックポイント)彩湖のエイドに到着。
かなり汗をかいています。それよりお昼ご飯。
おっと、その前に、ザバスのプロテインアクアアセロラを飲みます。
シェーカーは小さいものを背負ってきたのですが、
14gは難なく溶け、一気に流し込みます。
さ~てそれから、そうめん、そば、ぱん、おにぎり、バナナ、
いっぱい食べました。
エネルギーさえチャージできれば大丈夫、次のエイドへ向けて出発です。
次のエイドまで14キロ、荒川沿いの長い道のり・・・
食べてもすぐに吸収されるわけではないので、
しばらくは我慢の走りが続きます。

彩湖をすぎて少し行くと、前方に数名のランナーが集まっているのが見えます。
何かあるのかな?期待してそこへ行ってみると、
自転車の男性が選手にアイスキャンディーを配っていました。
昼過ぎの暑いときだったので、美味しいこと! ごちそうさまでした。



続いて、次のエイドのちょうど中間あたりに、また私設エイドがありました。
今年エントリーしながら都合で出られなくなった方がやっていました。
またしても、コーラをいただきひと息、ありがとうございました。

荒川沿いのコースは単調です。
だいぶペースが落ちて、速い人に抜かされましたが、
抜いてゆくのは520キロコースの選手ばかり、
すごいな~と感心するばかりです。



第2CP ここで約50キロ。
エイドには、バターロールにハムをはさんだサンドイッチがありました。
美味しくて3個も食べてしまい、ついでにおかゆも1杯。
相変わらずよく食べるなと、自分で感心しています(笑)
ここからはサイクリングロードを進みます。



道の両側には菜の花が黄色く咲いて、とてもきれいな道ですが単調です。
でも、この辺から、走りが変わってきたことが、
はっきり自分で分かるようになりました。

思わず、そうだそうだ、これこれ、これがウルトラの走り方。
何と、50キロ走って、やっと身体がウルトラの走りを思い出したのです。
しばらくは楽な走りが続きました。

前から来るバイク練習の人が「頑張れ~」と声をかけてくれます。
しかし、ここで失敗!
次のエイドまで10キロちょっとだと思っていたのですが、
なかなかエイドが現れない、
それもそのはず、実は16キロありました。完全な勘違い!
夕方になり、風も冷たくなってきました。
気持ちの疲れも出て、少しずつ睡魔が襲ってきます。
走りが蛇行し始めましたが、車が来るわけではないので、
安全な範囲では、蛇行したまま走っていました。
だんだん夕暮れが近づき、
次のエイドからはライトONだなと思い始めた頃、エイドに到着。



第3CP 65.6キロ地点です。

座り込んで、まずはプロテイン。
何を食べますか?うどん、トン汁・・・
全部ください、何でも食べます!
相変わらずの食いしん坊にあきれます(笑)
まず、うどんを1杯、続いてトン汁を食べながらおにぎりを食べ、
続いてうどんをお代わりしていると、
かぼちゃのお汁粉があるんですけど食べます~?
もちろん食べます、食べます!
このお汁粉美味しかったです。

ここで、日が落ちて暗くなりました。
ウェアを半袖から長袖に着替え、ヘッドライトを装着、
ナイトランの開始です。
気温も長袖でちょうどよく、ライトも明るく次のエイドを目指します。

次のエイドまでは9キロほど、でも、疲れも出てきて、
遠くの家の灯りがエイドの灯りに見えたり、
ちょっとまずいね、なんて思いつつ、進みます。

次のCPで橋を渡るので、橋が見てこないとエイドはないなと、
考えて走っていたので、まだ判断力はあったみたいです。

第4CP 74.5キロ地点、
暗い川沿いにエイドの灯りが見るとほっとします。



カップラーメンとコーラ、普段は絶対に食べないものです。
とくにカップラーメンは数年ぶりくらい、
空きっ腹にありがたくしみこんでいきました(笑)

次のCP5熊谷警察署前までは11キロほど、
ここからは市街地走行になります。

川を渡って、直進し国道17号線へ出て、一路熊谷警察署を目指します。
途中で、520キロの男性ランナーと一緒になり、話しながら走りました。
トレイルランのことなど、いろいろ、その方もトレイルランをやっているので、
ハセツネ、北丹沢、信越五岳と、話しが弾みました、

その男性に先行し、しばらく行くと道路わきに、
熊谷6キロと書いてある標識がありました。
もう一息だと、頑張って走り続けましたが、なかなか警察署がありません。
前後に選手もなく、間違えたかな~、通り過ぎたかな~、
ちゃんと見てきたんだけどな~、と思いながら、
地図を見てみましたが現在位置がいまひとつ分かりません。
ちょうどバス停があったので、
もしかすると警察署前というバス停があるかなと探してみると、ありました。
まだ5つも先でした。ひえ~!
そうか、前の6キロというのは熊谷市街に入るところまで6キロということで、
警察署までではないよね。ここでようやく判断が冷静になりました。
バス停を確認しつつ、やっと警察署前に到着。
ここからはCPであってもエイドはありません。

かなり疲れていましたが、休むところもないので、
仕方なくレストランの塀のところに腰掛けて、
アミノ酸を飲み、パンを1個食べました。

時間は夜中に近くなり、人気もなく寂しい市街地に、
スピードを上げた車ばかりがびゅんびゅん走り、
気持ちが滅入ってきます。
でも、もう電車もないし走らないと帰れないので、
そろりそろりと走り始めます。

スピードは歩きに毛が生えた程度ですが、進むことが肝心!
140号線のバイパスをひたすら進みます。
途中コンビニなどもありますが、一切寄らず走り続けました。
途中の黒田という交差点で旧道に入るとあり、
そこで、ひと息入れ、パンを食べ脚を休めます。

ここからは旧道を寄居方面へ進みます。
熊谷の前で話しをしていた選手が追い越していきましたが、
無理せずマイペース、というか上げられない(笑)

このへんで100キロを超えました。
前の選手の点滅灯を目印に進みます。
しばらく行くと、広い道路の交差点に出ました。
標識は右方向が長瀞、でも、前の選手は直進していきました。
は~て・・・ 時は既に丑三つ時、判断力が怪しくなってきました。
一応、地図を見ようとザックを降ろし、ヘッドライトで確認していると、
遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきました。
こんな真夜中に何だろう? 目の前を通過するとき、
救急車の赤色灯がやけに眩しかったことを覚えています。
まさか、それが事故に遭った選手を搬送していた救急車だとは、
その時は夢にも思いませんでした。
地図を見てもちょっと判断できず、
とりあえず前の選手を追って交差点を直進します。



道なりに走って、ようやく第6CP 103キロ地点、
東武東上線の玉淀駅へ着くことができました。ここで、午前3時です

ここには、私設エイドがあると聞いていたのですが、
遅すぎて終わってしまっていたようです。
駅は選手のために一晩中電気が点いています。
ここでトイレへ寄り、座ってアミノ酸とおにぎりを食べ、休憩です。
先着した選手はタオルを顔にかけて仮眠に入っています。
しかし、自分はスピードが遅いので、10分ほどで出発することにしました。
気温もだいぶ低下してきたので、モンベルのウィンドジャケットを着用。
ここから寄居の街中を抜けて行くのですが、どうもルートに自信がありません。
とりあえず、前に見える選手を追って進みました。
やがて140号線と合流し、今度は間違いなく秩父方面へ向かい、
コースの不安もなくなりました。
道路は歩道のあるところはいいのですが、
ないところはできるだけ端を走っても後ろから来る車は怖かったです。
したがって飲酒運転でいきなりぶつけられたら、
ひとたまりもないことは身をもって感じました。
さて、何とか走り続けながら来たところ、
道路わきに駅があるところで、選手に呼び止められました。
実は事故が起こって今レースを中断していること、
選手はそこの駅の待合室に入っているので、
そちらに移動してくださいと告げられました。
そして、かなりの重傷のようなんですよ、という説明。
驚きながら、とにかく駅の待合室へ行って見ると、
30名ほどの選手が座っていました。
ちょうど夜明け方で、急に止められて汗が冷えた選手の中には、
寒くて震えている人もいました。
幸い自分は一枚多く着ていたので何とかしのげることができました。

選手の人たちから事故の状況が聞こえてきます。
「道の狭くなっているカーブのところで、
後ろからぶつけられガードレールの外まで飛ばされた」とか、
「救急車の中では、心臓マッサージをしながら搬送して行った」とか、
どれも耳を疑うようなことばかりで、
これが現実なのか、悪い夢なのか、ぼんやりと考えていました。
どうやらレースは中止のようですねという声が聞こえ始めた頃、車が到着、
主催者の方が待合室に入ってきました。

「事故に遭われたのは、瀬田晃さん、瀬田さんは亡くなられました。」

その瞬間、選手の間から、え~とも、あ~ともいう言葉が洩れ、
重苦しい空気が流れました。自分も胸が熱くなりました。
「川に道」はレ-スではありますが、
とにかくみんなで完走しようという仲間意識のほうが高いレースなので、
たとえ面識はなくても、その仲間が亡くなったということは、
全ての選手の心に大きな衝撃を与えました。

「このレースでは初めての事故であり、
代表者も今、警察で事情聴取を受けています。
レースは警察の指導もあり中止とさせていただきます。
荷物はここへ運びますので、ここで解散と致します。
申し訳ありませんでした。」

もちろん、主催者側の説明に誰一人異を唱える者はなく、
ただ現実受け止めるだけでした。
30分ほどで荷物が到着。
寒くて着替えも大変なので、ウェアの上から重ね着をして帰り支度をしました。



その時、初めてここの駅が秩父鉄道の「波久礼駅」(約108キロ地点)
であることを知りました。
その後、始発から2本目の電車で寄居へ出て、
八高線の拝島を経由して帰宅しました。

何とも辛いレースになってしまいましたが、
まだまだ自分は力不足であること、
「川の道」は普通のウルトラではなく、
水や食料、ウェアなどの選択を適切に行わなければならないことなど、
いろいろ学ぶことができました。

幸い、自分は事故に遭いませんでした。
でもそれは偶然に過ぎなかったのかもしれません。

「今」の大切さ、「命」の大切さ、様々な想いが去来する中、
このレポートを終了したいと思います。

合掌。

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2 コメント

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Unknown (妻です)
2011-05-11 18:30:01
夫の死を悼んでくださってありがとうございます…
川の道は夫にとっても私にとっても、特別なレースでした。スタッフ、ランナー一体となったアットホームなところが魅力で、走るのがたいへん楽しみだったのに、こんなことになってしまい…
夫の事故を目撃していたランナーさんは宮城からいらしていました。皆さん、たいへんな準備をして臨んでらしたのに中止になるなんて残念でなりません。

危険が叫ばれても繰り返される飲酒運転や無責任運転。運転者にばかり優しい法律。
「車が主、人が従」のこんな社会は間違っていると思います。
人が安心して道を歩ける走れる世の中になってほしいと切に願っています…

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コメント恐縮です (ohshima)
2011-05-12 02:03:19
まず、今回のご不幸について、心よりお悔やみ申し上げます。

私は今回が初めての参加で、ただオロオロと皆さんについて走っておりました。
しかし、初めてとはいえ、このレースに参加した以上、ご主人様とは同じ釜の飯を食った仲間だと思っております。
波久礼駅で、主催者よりご主人様の死亡が告げられたとき、正直言って涙がこぼれそうになりました。

私にできる供養は、ご主人様の、不幸・無念をいつまでも忘れることなく、走り続けることだと思っております。

奥様も、突然のことで、さぞお力落としのことと存じますが、前を向いて進んでいかれますことを、切に願ってやみません。

丁寧なコメントありがとうございました。
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