散歩の閑人:メタ坊っちゃまのYOASOBI?

若気の至りが過ぎてメタボでも、世遊びは辞められない。

松林のキャンプ

2023年08月21日 | ★メタ坊徒然草

TVer.で「憑きそい(ここをクリック!)」というショートドラマをご覧いただけたでしょうか?
怪談話で怖いのは、聞いた話を自分なりに想像して、その想像したロケーションに似た場所に立ち至ったとき、ふと、話を思い出して、そこに登場する幽霊や妖怪、怪異などが出現し、自分が巻き込まれないかという不安が生まれるからです。
テレビがなかった時代、幽霊図や百鬼夜行絵巻(見出し写真・文化遺産オンライン)、また、耳袋や百物語など怖さが涼しさを呼ぶということで、娯楽として流行りました。

ある海辺近くに親戚のおじさんが所有する大きな松林がありました。
「夏休みに遊びに来い」というお誘いもあって、友人とテントを持って出かけました。
松林の真ん中あたりにテントを設営し、昼間は海辺の海水浴場を楽しみ、朝夕は飯盒で自炊です。
夕方になると、毎日、おじさんは松林の落ち葉を、ザクッ、ザクッ、と踏みしめながら、設営したテントのところまで、畑で採れたスイカやらキュウリやらトマトを持ってきてくれました。
ある夜のことでした。
いつものとおり、遊び疲れて、寝袋を敷いた上で眠りについた深夜。
ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ・・・。
遠く波の音しかしない静寂な松林の中を、テントに向かって歩いてくる足音に目を覚ましました。
「おじさん、何か急用でもできたのかな?」
と、ふたりでのぞき窓から外を見ると、急に友人が後ずさりして、テントの奥でふるえはじめました。
外を指差しながら「おじさんじゃない!」とひとこと。
メタ坊は怪訝に思いながら外を見ていると、足音が大きくなり、テントの前あたりで止みましたが、なんの姿もありません。
「こっちをのぞいてる!」
友人が震える声で注意するものの、メタ坊には、ちっとも見えないのです。
ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ・・・。
やがて、足音が遠のいていきました。
友人曰く、外を見ているメタ坊の顔の正面に、水浸しになった蒼白の顔があってニヤリと笑ったそうです。
だれなのかはわかりませんが、見えると見えないのとでは、これほど恐怖心が違うのかと思いました。
その朝、松林の周囲には柵が設けられていて、出入口の柵は、おじさんが朝夕に畑の行き帰り鍵を開け閉めしていることを知りました。
もちろん、その日は遊びもせず、テントを撤収して帰宅の途につきました。


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