「ラーメン二郎」小ぶたダブル

あの行列に並んだ。
それも、昼時だったから、待ち時間もそれ相応で、それだけに期待も大きくふくらんだ。



シオ、シオ、シオ、シオで・・・
列の前から聞こえる「シオ」という声、
ここは、醤油、味噌より、塩がいうまいのか！と、勝手に解釈した。
待つこと十数分、列の中ほどへやってきた。
すると、前の列の人が「味噌」というと、
すかさず、店員が「うちは味噌はやってません」といった。そうか、醤油か塩なんだ。

だんだん列の前にやってきた。店が近づいてくる。
「お客さん、何にしますか？」店員が尋ねると、口々に、
シオ、シオ、シオ、シオで、シオ・・・そう、前の人がみんな「シオ」なら、私も「シオで」。
ついに、入店。そしたらすぐに、券売機で食券を買う。
券売機はいたってシンプル。
小ラーメン（豚２枚）６５０円、小ぶた（豚５枚）７５０円、小ぶたダブル（豚８枚）８５０円。
大ラーメン（豚２枚）７００円、大ぶた（豚５枚）８００円、大ぶたダブル（豚８枚）９００円＜なぜかこれだけ売切表示＞。
味つけ玉子８０円、ニラキムチ８０円、汁なし８０円（汁なしって何？）。

「あっ！“塩”じゃなくて“小”のことか」券売機を見て、合点がいった。
それなら、豪華に「小ぶたダブルに玉子乗せだ」・・・挑戦する心が大切！そうして出てきたのが見出し写真。
山盛りだ・・・なんか嫌な予感がする。
豚８枚が、もやしを中心とした茹で野菜に隠れて見えない。
恐る恐る野菜をどけてみると・・・なんと、ゆで豚の分厚く切った塊（ほとんど１本に近い）が縦に並んだまま、器半分を占めていた。
おまけに、何度も入れるかどうか念押しされたニンニクまでオーダーしてしまった。


醤油味のこってり豚骨スープが、太い平打ち麺にまとわりつく。
食べても食べても、いっこうに麺は減る気配がなく、かなりのボリュームで噛みごたえのあるゆで豚を、１枚、２枚と食べる。
いかん！脂汗が出てきた。
カウンター席１１席の小さな店で、このボリュームだから行列が出来るのかもしれないし、この食べ応えで時間がかかるのかもしれない。
残りは、あと、ゆで豚の厚いのが２枚、麺が半分、野菜少々、揚げニンニクの香りプンプンのスープがたっぷり・・・。
カン！カン！カン！カン！カン！カン！
頭の中にゴングが鳴り響き、タオルをリングに投げた。
怒られちゃいけないと、残りのゆで豚を麺の下に押し込み、店をあとにした。
敗北者のシャツの胸辺りに、悪戦苦闘した跡が、シミとして飛び散っていた。

そして、店の置物があざ笑うかのように見えた。


はじめての方は、ぜひ「シオ」のみ「ニンニクなし」でチャレンジしてみてください。

（店内）