がんばろうね 3

「がんばろうね」3
今回は今年保護されてきたツバメたちを。
今年の白馬ツバメたちは私にとってはかなり辛くて悲しい場面の多い年だった・・
そんな中で、運が良かったのか悪かったのか彼らにとってはどうなのかはわからないけれど保護をされてその小さな命をつなぎとめることができた子たち・・・あずさ、ヤング、翔ちゃん、ちぃちゃん

あずさへ

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あずさ・・あれから五カ月だね・・保護したときはかなり弱っている上に片羽は折れてしまっていて、落下の時の影響なのかくちばし周辺に障害が残ってしまって、餌を食べる時もとてもしんどそうだった・・今でもゆっくりと時間をかけないと餌を飲み込めないものね・・・保護ツバたちの中で一番重い障害を残してしまっているあずさ・・・
それでもみんなと一緒に飛びたくて、いつもいつもがんばるけれどそのたびにひとりだけ床に落ちてしまうね・・・床に落ちるたびにあなたは私のそばにトコトコ歩いて来ては「ウィッウィッ」と鳴いて「みんなの止まっている場所へ止まらせて」と訴えてくるのね。水浴びをしたいときも羽をパタパタ震わせる動作をして「水浴びがしたいの」とちゃんと知らせるのね。言葉が通じないからそんなあなたのしぐさでわかってあげなくてはいけないものね。
あずさのパパとママはあれから無事に南へ帰れたかな・・・来年こそは、あずさの兄弟たちがまた生まれて・・無事に元気に巣立ってくれるといいね・・・

　　　　　　　　　　　　　保護したばかりの頃のあずさ
　　　　　　　　　目をつむって苦しそうに口をパクパクさせていたね

　　　　　　　　　　　　あずさはいつも一生懸命　頑張り屋さん・・・

　　　　　　　　　　　　　やせっぽちのあずさ・・羽根もボロボロ・・
　　　　　　　　　　　　　でも一所懸命生きているの・・・　　

 

ヤングへ

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ヤング、君は自立心の強い凛々しいオスツバメになったよね。
片羽が完全に下がってしまっているのに部屋の中を所狭しと飛び回り続ける。機嫌のよい日には「ビチュクリビチュクリジュビジュビジィィィ」ってさえずっているね。保護ツバのなかでただひとり(一羽) 自分で餌を食べられる子。一日外出する時も君のことは安心してお留守番させていけるよ。ただ・・・あまりに強くて元気すぎるから他の保護ツバたちと一緒に生活が出来ないね。君のペースに振り回されてみんながヘトヘトになってしまう・・・もったいないね。君は羽を痛めていなければきっと南にちゃんと渡れて、翌年立派なオスツバメになって帰ってこれただろうにね・・・
ヤング、君にはこれから先保護されてくるツバメたちがリリースできるようになるまでの訓練をお手伝いしてもらうからね。よろしく頼むね。

　　　　　　　我が家にお引越しをしてきたばかりの頃のヤング

　　　　　　　　　ぴーちゃんは半年以上かかったけれど、君はもうくちば
　　　　　　　　　しの周りがエンジ色に変わり始めているよね。

 

翔ちゃんへ

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翔ちゃん、君はいつもおっとりしていて控え目で優しい子。うちに来てしばらくは警戒心が解けなくて、餌を食べる時もおっかなびっくりだったけれど・・・しかたないよね。君は保護された時にはすでに独り立ちをして立派な若鳥として渡りの準備をしていたのだから・・・はじめは全く飛べなかったけれど・・今では羽音はかなり大きくて重たそうだけどそこそこに飛べるようになったよね。外の景色を眺めてはよく声を出すよね。ブトの声がすると「チュピィ」って・・ちゃんと警戒鳴きをするよね。君は思っているんだろうね。
「なんで私はここにいるのかな・・・あの広いお空を私は飛んでいたのに・・」って。
翔ちゃん、これからもみんなのムードメーカーでいてあげてね。

　　　　　保護して間もないころは警戒心の塊でピリピリオドオドしていたね 

　　　　　　いつの頃からか警戒心を解いてくれて・・顔つきが柔らくなって
　　　　　　食欲旺盛ちょっとメタボになっちゃったのね。

ちぃちゃんへ

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ちぃちゃん、君を見ていると君の中にお星さまになっていった巣立ち間際の兄弟たちが確かにいるんだなぁって・・・わかるよ・・・保護ツバたちの中で一番小柄なのに食欲は一番だものね。食べても食べても「まだちょうだい　ちょうだい」って・・・お腹を空かせている兄弟たちが口を開けるね・・・だからちぃちゃんは食べても食べてもちっちゃいまま・・・ちぃちゃんを見ているとなんだか悲しくなることがあるよ。でも・・・元気いっぱいに毎日部屋の中を一番上手に飛び回っているちぃちゃん。首をかしげながらまんまるな瞳で私をじっと見つめる姿がとても可愛いね。
マイペースで食いしん坊のちぃちゃん、どうして君の顔は・・・イワツバメなの？
・・・・ママツバメだけが知っている、ちぃちゃんの秘密・・・

　　ほんとにちっちゃかったよね・・・他の兄弟たちの半分くらいしかなかったよね

　　　　　　　　　　　雛の時からいつも笑っているような顔してたね

　　　　　　　　　　　　頭のポワポワがしばらく残っていたね

　　　　　　　いつもびっくりしているようなクルクルまんまるお目目が・・・

　　　　　可愛い・・・けど・・・みんなと一緒に並んでいるとき気がついた・・・

　　　　　　・・・ちぃちゃんて・・・ツバメというよりか・・・イワツバメの顔・・・
　　　　　　？　？　？・・・・なんで・・・？

ひとりひとり(一羽一羽)それぞれの悲しい事情で「保護ツバメ」となってしまったけれど・・・私もがんばるからね。だから・・・君たちも・・・がんばろうね。

ひとつだけ・・・聞いてもいいかな？
「君たちは・・・今・・・幸せかい？」