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京都市響第698回定期(2025年3月15日)

2025年03月18日 | コンサート

常任指揮者沖澤のどかが振る今年度2回目の定期演奏会だ。昨秋には出産のため予定されていた定期を欠場したが晴れて出産を終えて復帰である。このプログラムを知った時からとても期待していたが果たして期待は裏切られることはなかった。まずは市響共同委託作品である藤倉大の「ダブル協奏曲ーヴァイオリンとフルートのための」の日本初演だ。ここではバイオリンの金川真弓と世界初演者でもあるフルートのクレア・チェイスが実に息の合った呼応を聴かせてとても大きな効果をあげた。名手に恵まれれば音楽的共感が得られる繊細にして美しい佳作だと言っていいだろう。そして待ちに待ったR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」は予想通り圧巻だった。丁寧に扱いつつも強烈なドライブ感を感じさせる若々しく颯爽とした演奏で、京都市響がこれまで聞いたこともないように強靱に鳴りきった。沖澤はプレトークで今回は練習に同会場が使えたので音が変わったと言っていたが、たしかに音色にも表現にも一皮剥けた芯の強さが感じられたのである。巨匠の熟達した音楽も良いが、明るい未来を感じせるしなやかにして力感溢れる音楽に大いにエネルギーをもらった。先月の東京二期会による歌劇「カルメン」では、オペラティックな音楽造りも含めていま一つ冴えが足りない気がしたが、今回は現在の彼女の実力が最大限に発揮できた感がある。更に花を添えたのはコンマス会田莉凡のソロの見事さで、その表現力の豊かさは特筆すべきものだった。そんな訳でわざわざ京都に足を運んだ価値が十分にあった演奏会だった。


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