山奥の鍛治工房

趣味でやっている鍛冶作業の記録

昨日のこと

2011-10-31 21:47:27 | Weblog
 今に至って書くのもなんだが、昨日(10月30日)に1か月半ぶりに長船にある日本刀傳習所に行った。
 その日は小雨が降っていたが、傳習所の鍛錬場では鉄素材が足りなくなってきた、ということでタタラによる自家製鋼が行われていた。
 材料である砂鉄は青森県のものでチタン含有率が25%あって、タタラ吹きするもちょいと難しいところだ、ということを親方から聞いた。
 写真撮影しようか、と思ったけども入れ替わり立ち代りにやってくる来訪者で撮影できなかった。
 砂鉄と木炭の投入は5分おき。ノロ出しは40分おきである。
 タタラ炉そのものは、日刀保の巨大なバスタブ型の炉を思い浮かべるだろうが、ここで使われている炉は、たとえて言うなら鋳鉄を溶かすキュポラ炉と煙突を組み合わせたようなタンク型である。送風は天秤鞴ではなく、200V駆動のターボ送風機(昭和電機製造)である。
 送風管に取り付けられたのぞき窓兼羽口の掃除穴を通して内部を見るも、推定1200~1300℃の高温に達しているため真っ白で何もわかりません。
 そのままでは全く見えない溶接防護面の遮光ガラスを通してみると、燃える炭の狭間に溶けた砂鉄の粒が一瞬光りながら落ちてゆくさまが見られた。
 午後1時過ぎに、はるばるイタリアから見学にこられた人がいました。
 聞けば、イタリアはもとよりいろいろな国から人が見学に来られるようで、10kg近い大ハンマーで鍛錬するさまはすごく感激されるとのこと。
 実際にお弟子さんが大ハンマーで鍛錬の実演すると通訳の人も来られた人も写真パチパチ。親方は質問攻めになってました。
 たまたま、材料が足りずにタタラ製鉄をしていた、ということも来られた人はとても幸運だったと思う。
 炉が解体され、取り出されたケラの塊も新鮮にうつったようで、これも写真パチパチ。
 11月か12月には、政府の招きでドイツの鍛冶職人さんが来られるとのこと。
 ドイツの鍛冶職人さんの感想を聞いてみたいものだ。