音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

日経「私の履歴書」

2008-01-16 23:38:35 | 時事問題
前にも書いたように、私は昔から「ルーツおたく」なので、週刊文春の「家の履歴書」も好きなんですが、日経新聞の最終面連載(「交遊抄」も含めて)も勿論読んでいます。

ぐっちーさんが、今のグリーンスパン元FRB議長の「私の履歴書」について怒っています。


さて、問題の私の履歴書。現在、グリーンスパン元FRB議長が取上げられています。それ自体はどうってことないんですが、これが同じ日本経済新聞から出されている「波乱の時代」というグリーンスパンの自伝のまるで抜書きなんですよ。


日経の人から訊いたのですが、先の長嶋茂雄の時は酷かったらしいですね。饒舌で野球のこととなれば話が止まらなかったミスターは、残念ながら脳梗塞の後遺症で往時のようには言葉は滑らかに出てきません。そこで、記者が既に世に出た評伝にあるエピソードをまとめて、「長嶋さん、ここはこうだったんですよね?」と尋ねて、ご本人が「こくり」とうなずいたら、それがそのまんま通るという・・・。道理で、どこかで読んだような話ばかりだったわけです。

「私の履歴書」は記者の聞き取り能力と筆力だけでなく、本人のコンディションも連載のクオリティに大きく影響するということです。外国人だとインタビューすらしていないこともあり、過度の期待は禁物です。コメント欄によると、GEのジャック・ウエルチ氏のケースも同様だったらしいのですが、日経が自社本のプロモーションやってる場合もあるといいます。

まあTV局だって全クールでドラマをヒットさせるのは不可能でありますし、週刊誌だって毎号面白くて充実してるわけじゃない。「私の履歴書」にしても、1人1ヶ月単位で年間に12人の「偉人」が登場しますが、ハズレの方が多いのは仕方がなく、そのうち2人か3人でも人選と筆が冴えて面白ければ、それでいいんじゃないかと思ったりします。日経新聞なんてそんなに大層なもんじゃないのだから、ぐっちーさんもそんなに青筋立てないでと言いたくなります。

それはそうと、ぐっちーさんは「AERA」で連載始めましたね。ブログ発の面白い書き手がメジャー誌に進出するのは良いことだと思いますが、逆に愛読していた山崎元さんのブログは、彼がダイヤモンド・オンラインで連載開始した昨年の10月から、めっきり更新頻度が落ちたのが残念です。(ご本人も認めておられますが)

山崎さんは、今さら巨大サイトで名前を売る必要のない方であり、原稿料のインセンティブなくしても執筆意欲は旺盛でした。「王様の耳はロバの耳」は寄せられるコメントも理性的で、管理人の人柄もあってか、良質なインタラクティブ性を有する稀有な著名人ブログだと思っていました。しかし山崎さんのエッセイが原稿料を払うダイヤモンド・オンラインに囲われたことは、従来のgooブログの愛読者にとって何のメリットもありません。むしろ、デメリットの方が目に付きます。ダイヤモンド・オンラインは無料サイトなんだから、そちらに読みに行けば同じことじゃないかと言われるかもしれませんが、いやいやそうではないのです。

まず、ダイヤモンドのサイトではトップページの巻頭言ともいうべき位置に山崎さんの連載が掲出されていますが、サイト上の広告が目に入るのも煩わしいし、1回の記事の全文読むのに3回クリックしなきゃならないのもかったるい。これもPV稼ぎなのか?とつい勘ぐってしまいます。もしかしたら、長文が下にダーっと続くと読者に圧迫感があるだろうと、サイト運営者がレイアウト上の配慮のうえ折り返しているのかもしれませんが、これは余計なお世話です。gooブログではどんな長文でも、ひたすらスクロールして読むことに何の痛痒も感じていなかったわけですから。

書かれるテーマもかぶっていて、山さんご自身も、両者の棲み分けは試行錯誤の過程だといいますから、現時点では原稿料が入ってくるダイヤモンド連載の方をどうしても優先せざるをえないのでしょう。でも読者としては、著名な書き手が、せっかく無料媒体で気持ちよく書いていたのを、このような邪魔をしないでほしいと思うのです。ダイヤモンド・オンラインは典型的な広告集稿志向サイトですから、山崎さんや保田さんのような実力ある著者を揃えて集客したいのはわかるのですが。

本来メディアは、そのネットワークと眼力で無名の書き手を発掘し、売り出すのが役割の一つでしたが、その逆のことをやってどうするんだと思ってしまいます。



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